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広範囲で資源対策を

 2月1日、秋田県北部漁協ではテリ刺し網が解禁になる。「テリ」とはウスメバルの通称で、男鹿と県南部ではこれを赤デリと呼んでいる。

 ウスメバルは沖合の岩礁域に生息するメバルの一種で、魚体は赤く、6本の茶褐色の横縞(しま)が特徴的な魚である。

 春告魚(はるつげうお)とは一般にはメバルをさすが、県内ではウスメバルがふさわしい。その理由は、県内で漁獲されている「○○メバル」には、ウスメバル、エゾメバル、メバル、キツネメバル(キツネがいればタヌキは?。タヌキメバルという種類も実際に存在する)などがあるが、これらメバルのうち、早春から漁獲され、量、価格とも重要視されているのが「テリ」であるからである。

 このウスメバルは、卵を産まない。交尾して体内受精し、子ども(仔魚)を「出産」(産仔)する。生まれた仔魚は浮遊生活し、海面に漂う海藻やその他の漂流物に「ついて」漂流物とともに移動し、7センチ程度に成長すると漂流物から離れて浅場の海底に着底する。

 昨年6月から7月に本県沖の流れ藻に「ついた」ウスメバルを調査したところ、それらの産仔時期は2月下旬から3月下旬と推定され、秋田県で生まれたものとは考え難かった。これらの稚魚は対馬暖流に乗って来遊したもので、そのふるさとは、山陰〜能登海域と考えられる。実際、DNA鑑定を行ったところ、日本海のウスメバルの遺伝子には地域差がほとんどなく、単一の群と考えてよいという研究報告もある。

 さて、秋田県のウスメバルの起源を山陰〜能登と仮定して、そこで親魚が乱獲されると秋田の資源も枯渇してしまうのではないかという懸念が生ずる。ここで、毎年一定の新規加入があって、加入後は移動しない資源を考えてみよう。移動がないのだから、この資源の減少要因は事故死か自然死に限られるだろう(水産資源の場合「事故死」とは漁獲による死亡のことで、その他の死亡は自然死亡という)。したがって、その漁場からの漁獲物の年齢別の漁獲尾数は、高齢になるにしたがって減少していくはずである。

 ところが、実際はある一定の年齢の漁獲尾数が最も多く、しかも毎年同じ傾向を示す。このことは、ウスメバルには成長に伴う移動・回遊があることを示している。また、未成魚あるいは成魚の標識放流ではほとんどが放流点より南で再捕されている。

 これらのことから、ウスメバルは日本海を南北に大回遊している可能性があり、広い範囲で資源対策を考える必要がある。

<写真:秋田に春を告げる魚「テリ」>

(秋田魁新報2000.1.28付)


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