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成熟までに2年間も

 県内ではよく知られているギバサに対して、同じホンダワラ科にジバサという海藻がある。

 ジバサの標準和名はホンダワラで、その名からすると、科を代表するぐらいたくさん生育しているかのようにも思われるが、県内では男鹿半島周辺の海域でしか見ることができない希少な海藻である。

 漁獲物として出回る数量も少なく、一部の地区でしか販売されていないことから、口にできるのも旬となる1月―3月だけである。価格においても、ギバサで浜値50円/キログラムであるのに対し、ジバサでは1000円/キログラムとかなり高価となっている。

 ジバサは生鮮で販売されることが多いが、食する際には当然のことながら、これを調理しなければならない。調理はギバサと同様、湯がいて刻めばよいのだが、「ジバサは人の手を嫌う」ということわざがあるほど、作る人によって出来、不出来の違いが出る。

 前回の項で、ギバサは本県以外ではほとんど利用されていないと述べたが、ジバサについては、日本海側の各地で古くから利用さており、本県同様、高値で取引されている。

 山陰地方では神馬草(ジンバソウ)と呼ばれており、煮物や漬物などに利用されている。神代の昔、神功皇后がひきいる馬(神馬)に食べさせた海藻であることから、神馬草となったという説もある。ジバサの語源は、このジンバソウではないかと思われる。また、佐渡では銀葉草(ギンバソウ)と呼ばれているが、これはギバサの語源ではないかと思われる。佐渡では、本県と同様に調理されているが、お土産用として乾燥品も販売されている。

 本県におけるジバサの漁獲量はここ数年、減少傾向を示しており、ピーク時は4.5トンの漁獲であったのが、平成11年には500キログラム弱となった。これは、資源量が減少したためであり、この傾向は日本海各地で報告されているが、原因は明らかになっていない。

 ジバサは、ギバサのように繁殖力も強くなく、生活史においても未解明名な部分が多い。一般的に一年生とされているが、水槽内で観察すると、成熟までに2年間も要したり、成熟してもすぐには枯れずに残ったり、枯れても根から幼体が萌出(ほうしゅつ)してきたりと、新たな発見が多い。

<写真:珍しいジバサの海中林>

(秋田魁新報2000.3.24付)


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