秋田県花粉情報 花粉症Q&A

       − 秋田県花粉症対策検討会編−

                                                                     

  ◆花粉症はどのような病気なんですか
花粉症は、花粉を原因とするアレルギー性疾患で、主に鼻や眼に症状が出ます。たとえば鼻を例にとると、そのメカニズムは以下のように説明されています。

@ 鼻の粘膜に花粉が付着しすると、花粉の中のアレルギーを起こす成分(アレルゲンといいます)が溶け出して、体内に入り込みます。
A 一方、花粉に対してアレルギーを持っている人は、この花粉の成分(アレルゲン)と反応するIgE抗体を持っており、これは肥満細胞(白血球の一種)と結合しています。
B このIgE抗体に花粉の抗原タンパクが結合すると….
C 肥満細胞からヒスタミン、ロイコトリエンなどの神経を刺激する物質が放出されます。これらの物質がくしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの一連の症状を引き起こし、「アレルギー性鼻炎」とよばれる状態になります。(下図参照)眼の粘膜(結膜)で同様な反応がおこると眼のかゆみや充血が生じ、「アレルギー性結膜炎」とよばれます。


正常な鼻の粘膜

花粉症患者の鼻の粘膜(粘膜の腫脹、鼻水)
(資料提供 秋田大学医学部耳鼻咽喉科学講座)

 

 

  ◆花粉症の症状はどのようなものですか
くしゃみ、鼻水、鼻づまりと眼のかゆみが主な症状です。人によっては喉のイガイガ感や咳、さらに下痢などの胃腸症状も出現します。また、鼻づまりが原因で夜間の睡眠障害や頭痛やイライラ感などの精神症状も現れることがあります。

                       

 

 

  ◆どうしてスギ花粉症になるのですか
まず、スギ花粉症になる体質を持った人が、スギ花粉を吸込んだりしてスギに対して免疫反応を引き起こすようになる、つまり、スギ抗原に対して反応するIgE抗体という蛋白質が作られます。これを感作といいます。そして、その数年後、再び花粉を吸い込むことでこのIgE抗体と花粉抗原が反応(抗原抗体反応)することで発症します。感作の詳細はいまだ解明されておりませんが、遺伝要因と環境要因が関与していると考えられています。

<遺伝的要因>
スギ花粉症になりやすい体質、つまりスギ花粉に対してIgE抗体を産生する体質が遺伝的に規定されています。スギ花粉症家系の解析では単純劣性遺伝モデルに合致することがわかっています。


<環境要因>
これまでの研究から、生体内でスギ花粉に対するIgE抗体を産生する環境要因として、大気汚染や環境ホルモン、食品添加物の関与がうたがわれております。たとえば大気中物質の中でもディーゼルエンジンの排ガス中に含まれる微粒子(DEP:Diesel Exhaust Particles)が、スギ花粉に対するIgE抗体産生を増強する作用(アジュバント作用)のあることが報告されています。


 

 

  ◆スギ花粉症の患者はどれくらいいるんですか
スギ花粉症は、1964年に初報告後、患者は徐々に増え1970年代後半に急増し社会問題となっています。現在では全人口の20パーセント程度であると推測されています。 参考までに秋田県の調査データを次に示します。

1) 小児期の罹患率
平成9年度に秋田県が県内の小児11348人を対象に実施した小児アレルギー疾患実 態調査結果によると、スギ花粉症と診断された人の割合は、幼児期0.8%、小学で4.4 %(全体で3.4%)ですが、診断歴はないが症状の発現状況からみて明らかにスギ花粉症と判定される人の割合は、幼児期7.9%、小学で19.6%(全体で16.2%)であることから、本県の小児のスギ花粉症罹患率は約20%であることが推定されます。

2) 外来患者数の増加
秋田県では、これまで花粉症対策事業として、1996年から県内の医療機関の協力を得て外来患者調査を行っております。スギ花粉飛散期間中の初診患者累積数で比較すると、図に示したように花粉の飛散量によって年別に変化しますが、スギ花粉が飛散する日数に大きな違いがないことから増加傾向であることが確認されています。


 

 

  ◆スギ花粉症はなぜ増加したのですか
スギ花粉症患者の増加した原因は、スギ花粉生産量の増加と、食生活や住環境の変化などが挙げられます。以下に考えられている原因を紹介します。

@ スギ花粉生産量の増加
戦後の昭和20年代から国の政策により全国的に多くのスギが植えられました。秋田県の森林面積は県総面積の約70%と全国で最も広く、スギ花粉生産量(木の枝に着く花粉の量)が多いのです。一般に、夏季に気温が高く日射量が多いと大量の花粉が生産されます。そして、樹齢30年以上のスギの木が特に多いのです。現在の秋田県のスギの木は、昭和40年代に植えられたものは樹齢30年〜40年、昭和30年代に植えられたものは樹齢40年〜50年になっています。
このことから、現在秋田県では、夏季の気象条件がそろえば大量のスギ花粉が生産される状況になっています。しかも、スギ花粉生産量の多い傾向はここ数十年は続くことが推定されます。

A 環境汚染
前述のDEP(Diesel Exhaust Particles)やダイオキシン、環境ホルモン等が花粉症をはじめとするアレルギー疾患の増加の原因であることが指摘されています。

B 食生活
蛋白質、脂肪の多い食生活がアレルギーを起こしやすい体質にしているのではないかといわれています。また、食品添加物のうち数種で、IgEの産生に対する増強作用が指摘されています。

C 住環境の変化
アレルギー体質になるか否かは乳児期に決定されるといわれており、この時期に細菌やウイルスと接触するとアレルギー体質になりづらいと言う説があります。住環境が清潔になり、また抗生物質の進歩により、細菌やウイルスとの接触機会が減ることでアレルギー体質の人がふえているといわれています。

 

 

  ◆花粉症の原因となる花粉にはどのようなものがあるのですか
日本で報告されている花粉症の原因となる花粉は59種で、表1及び表2に示したものです。




秋田県ではスギのほか、カモガヤ、ヨモギ、ブタクサが主な花粉症の原因抗原となります。

カモガヤ花粉
ブタクサ花粉
ヨモギ花粉

 

 

  ◆スギ花粉症とヒノキ花粉症はどう違うんですか
スギ花粉とヒノキ花粉は、花粉に含まれるタンパク質のうちのアレルギーの原因となる物質(抗原)においてIgE抗体の産生に関して共通の作用があり、これを共通抗原性といいます。実際にスギ花粉症患者さんの約7割がヒノキ花粉に対するIgE 抗体を持っているので、スギ・ヒノキ花粉症と言った方が適切かも知れません。 スギは日本固有のもので、秋田県は特に植林面積が多いのですが、幸いなことに秋田県はヒノキの植林面積は極端に少ないのです。これは、ヒノキが雪に弱いことなどに原因があるようです。

 

 

  ◆予防はどのようにすればよいのですか
個人の予防策は、既に発症している人が症状を軽くすませるためや重症化しないように予防するのが一般的です。現在個人の予防対策については様々な情報が飛び交っていますが、大きく分ける次のようになると思われます。

(1) 花粉の回避
1) 花粉を取り込まない
マスクやメガネの使用によって花粉の鼻や眼の粘膜への付着を予防できます。

通常のメガネの使用だけでもメガネを使用していない時より、目に入る花粉量は2/3になります。また、花粉症用のメガネは、花粉が眼に侵入する花粉をより抑え、通常の約1/3にし、症状の発現を抑えるとの報告があります。


通常のマスクでは鼻に入る花粉数はマスクをしないときの約1/3になり、花粉症用のマスクでは約1/6になるとの報告があります。


2) 花粉を持ち込まない
家に入る前に花粉のついた衣類をたたいて花粉を落とす、花粉の飛散日は外に衣類を干ないなどに気をつけることが大事です。羊毛製の衣類は花粉が付着しやすく、花粉を屋内などに持ち込みやすいことも分かっていますので、服装にも気をつけることが必要です。

(2) 体力の維持、ストレスをためない
花粉飛散の季節の前に風邪を引くと粘膜の上皮が障害され、花粉症のときに症状がひどくなることがありますので、風邪に注意することも必要です。鼻づまりを悪化させるアルコールの摂取などもよくありません。また、精神的ストレスは花粉症の症状を悪化させることがわかってますので、ストレスをため込まない生活も大事です。

 

 

  ◆花粉予報はどのように活用すればよいのですか

予防策で説明したように、花粉症の予防には花粉の回避策が必要です。
花粉を吸込まないためや、花粉を持ち込まないようにするための情報として活用できます。

このホームページでは、長期予報と翌日の予報の2種類を提供しています。

長期予報は、今シーズンの総飛散量、飛散開始時期、飛散ピーク、終了時期についての情報を掲載しています。ですから、長期予報によって、今シーズンは自分の住んでいる地域のスギ花粉の飛散状況を知る事ができます。たとえば、毎年発症する人は、受診時期の目安にすることができます。また、終了時期についてもわかる事で屋外での仕事やスポーツなどの活動をする際の参考にもできます。

翌日の予報は、内陸北部・沿岸部・内陸南部の3地域を対象に、「少ない」、「やや多い」、「多い」、「非常に多い」の4段階のスギ花粉の飛散量で示しています。

既にスギ花粉症の人は、自分の症状の現れ方を自分で知っていると思います。
症状出現は個人差が多いため、スギ花粉飛散数が少ない日に症状が軽くすむ人の他に、少なくても症状がひどい人や、スギ花粉飛散数が多い日でも症状がそれほど悪化しない人もいるはずです。したがって、自分の症状にあわせて、スギ花粉予報を活用してくださるようにしてください。

このことによって、適切な治療や予防を行うための情報になるとともに、少しでもスギ花粉飛散シーズンを楽に乗り切れることを願っています。

 

 

  ◆花粉症かどうかはどうすればわかりますか
自己判断せず、まず専門医の診察を受けましょう。花粉症と似た症状の病気もあるので医師はまずその判断をします。それには鼻の中や眼を診察したり、鼻汁を調べたり、レントゲンを撮ったりします。花粉症が疑われるようであれば、ほんとうに花粉が原因なのか調べます。花粉が原因と思っていても、他の物質(ダニやほこり、カビ、動物上皮など)が原因のこともあります。原因物質を調べるには、実際に原因物質のエキスを鼻に入れて症状が出るか調べる「誘発反応」の他、皮膚にエキスを少量いれる「皮膚反応」、採血してIgE抗体を調べる「RAST法」などが一般にもちいられます。


              

 

 

  ◆花粉症の治療はどのようなものがありますか
花粉症の治療薬は現在は症状を抑える治療(対症療法)が中心です。医師は症状や体質等、さまざまな薬の中から、患者に合った薬を処方します。一般に内服薬や点鼻(鼻に噴霧するくすり)や、点眼薬が使用されています。内服薬は眠くなる副作用が強いものが多かったのですが、最近ではねむけの少ないものも開発されており、処方することができます。また、以前花粉症にかかった人は、花粉の飛散シーズンのまえから薬を使用することで花粉症の季節を快適に過ごすことができます。

花粉症の完治を目指すのであれば長期戦(2から3年)で臨まなくてはなりません。これは花粉のエキスを少しずつ身体に注射していく方法で「免疫療法」とか「減感作療法」と呼ばれているものです。詳しくは医師に相談ください。

(監修  秋田大学医学部耳鼻咽喉科学講座      三戸  聡)