ツツガムシ病について
◇ツツガムシ病とは
ツツガムシ病とは、ツツガムシ病リケッチアという病原体を持つツツガムシの幼虫が、ヒトの体に吸着することにより起こる病気です。
ツツガムシ病は全国的に発生しており、一部地域のみの病気ではありません。県内でも全域にわたって発生しています。 (平成12年では、全国37の都道府県で合計754人、秋田県内では48人の患者数の報告がありました。)
県内では5〜7月、10月〜11月に多く発生し、山菜採りや農作業の際に感染することが多いようです。
ツツガムシ病は早期に適正な治療を行えばすぐに治りますが、治療が遅れると重症になり、死亡することもあります。
◇なぜツツガムシ病にかかるのか
ツツガムシは幼虫から成長するために、必ずネズミやヒトなどの温血動物の体液を吹う必要があります。そのため、幼虫は地面のうえで動物が来るのを待ち、そこへ通りかかった動物に取りついて体液を吸います。
ほとんどのツツガムシはツツガムシ病の病原体は持っておりませんが、ごくわずかですがツツガムシ病の病原体を持つものがあります。そのようなツツガムシに吸着されたとき、ツツガムシの体内にいた病原体がヒトの体内に入り、感染します。
吸着するのは幼虫の時だけです。また、吸着するのは一生に一回だけなので、一匹のツツガムシが何人ものヒトに病気をうつすことはありません。
また、ツツガムシ病は、病原体を持つツツガムシからのみ感染しますので、病原体を持たないツツガムシに吸着されても感染しません。
ヒトからヒトへうつることや、ネズミなどの動物からヒトにうつされることもありません。
◇病原体を持つツツガムシ
病原体を持っているのは、ごくわずか(0.1〜0.2%程度の割合)のツツガムシです。病原体はこれらのツツガムシの体内にいて、親から子へと受け継がれていきます。
病原体を持つ一族の成虫(メス)が産んだ卵からかえった幼虫はたいてい病原体を持っています。そのなかのメスが成虫になって卵を産むと、病原体を持つ幼虫がかえる、その幼虫のなかのメスが成虫になり卵を産む、というふうに代々メスを通して子々孫々病原体が受け継がれていきます。
このような病原体を持つツツガムシの一族は、ある狭い範囲(1m四方くらい)に群がって生息しているので、そのようなところに足を踏み入れた場合は、感染する危険が大きいことになります。
こうした地点は各地に散らばっており、しかも年々同じ場所ではないので、あらかじめ見定めておくことはできません。
◇なぜ春や秋にツツガムシ病が起こるのか
県内のツツガムシ病の主な原因となっているのは、フトゲツツガムシという名のツツガムシです。フトゲツツガムシの親は夏に卵を産み、卵は晩秋にかえります。そして卵からかえった幼虫は温血動物に吸着します。このため、秋にツツガムシ病が起こります。
そのうち気温が低くなると(10℃以下)幼虫は動けなくなるので、土の中で冬を過ごします。動物に吸着できなかったムシもそのまま冬ごもりします。
春になって暖かくなり(平均気温が10℃以上)幼虫が動けるようになると、秋に吸着しそびれた幼虫が温血動物に吸着します。このため春にもツツガムシ病が起こります。
ヒトよりもネズミなどの動物の方に先に取りつきやすいと思われますので、先に動物につくツツガムシが多ければヒトに吸着するムシは少なくなると思われます。
また、一度吸着したツツガムシは二度と吸着せず、病原体を持たないツツガムシに吸着されても感染しません。こうしたことはその年によって発病数に変動がある要因の一つと思われます。
◇ツツガムシに刺されるとは
ツツガムシに「刺される」と言うことがありますが、ツツガムシは蚊のように針を刺して血を吸うのではありません。
ヒトに取りついたツツガムシの幼虫は、衣服の隙間から入り込み、地肌の上を1分間に3〜4pの速さで動きまわり、よさそうな場所にくると、口吻(クチバシ)を突き立てて吸いつきます。その後クチバシから唾液を出したり吸ったりして人の組織を消化しながら、何時間もかかって特別な管を作り、それを通して体液を吸います。これがツツガムシに「刺される」状態です。そのとき、ツツガムシの体内にいた病原体がヒトの体内に入ると、感染することになります。
ツツガムシが好んで吸着するところは、陰部、内股、脇の下、下腹部など、いくらか湿った皮膚の軟らかい隠れたところです。子供では髪の毛がある頭にもよくつかれます。
ツツガムシの幼虫の大きさはせいぜい0.2o程度ですし、吸いつかれても痛みもかゆみもありませんから、気付くことはほとんどありません。
(昔、雄物川沿いで起こるツツガムシ病の原因として有名だったアカツツガムシの場合は特別の痛みがありました。)
◇ツツガムシ病の主な症状は
ツツガムシ病に感染してから実際に症状が現れるまでには、約10日くらいかかります。
ツツガムシ病の初めの症状は「かぜ」とよく似ています。まず、
(1)体がだるくて食欲がなくなります。次いで、
(2)ひどい頭痛や寒けとともに39〜40度もの高い熱が出てきます。さらに、
(3)胸や背中や腹部にかけて赤褐色に発疹が出てきます。
このような症状が出てなかなか治らない場合は、ツツガムシ病の疑いもありますので、早めにお医者さんに診てもらってください。この頃までに適正な治療が行われた時には、普通のカゼよりも速く治ります。
しかし、適正な治療が行われないままだとなかなか治らず、さらに手遅れになると死亡してしまうことがあります。
なお、古くからツツガムシ病の診断の決め手になったものに「刺し口」というものがあります。これは、感染してから2〜3日後頃からツツガムシに吸着された辺りが赤い小さな水ぶくれになり、さらに膿がたまったようになり(濃疱)、10日後頃には周りが赤く盛り上がった黒いかさぶた(痂皮)になるものです。
しかし、この「刺し口」が出来ても、あまり痛くもかゆくもありませんので、気付かないでいることが多いのです。
◇ツツガムシ病をはやく見つけるには
ツツガムシ病にかかった場合は、早く適正な治療をすることが大切です。
そのために、先ほど述べましたような症状が長引く場合は、早くお医者さんの診察を受けてください。診察を受けるときは、日常の生活、特に田畑に行ったり、山菜とりに行ったことなど、発病前の生活状況をお医者さんに話してください。もし、身体に腫れ物やかさぶたがあれば、「刺し口」かもしれませんので、お医者さんに見せてください。
しかし、症状や普通の検査結果だけでは、似たような病気もありますから、確実に診断するには、病原体についての特別な検査が必要になります。
今のところ、一番速く診断する方法は血清の中のツツガムシ病リケッチアに対する抗体を調べる検査法です。
秋田県では、県内どこの医療機関からでも、ツツガムシ病が疑わしい患者さんの血液を県の衛生科学研究所に送れば、即日無料でツツガムシ病の確認検査をして、結果が分かり次第お医者さんに連絡する体制ができています。
◇ツツガムシ病の予防方法は
ツツガムシ病を予防するための方法としては、野外でのお仕事、レジャーなどから帰ってきたら、
(1)着ていった衣服はできるだけ部屋の中へ持ち込まないこと。
(2)なるべく早めにお風呂に入って体をよく洗うこと。
特に、皮膚の軟らかい隠れたところは、念入りに洗ったり、拭いたりすること。
が、すすめられます。
(1)は、衣服にツツガムシが着いているかもしれないので、室内に持ち込まないようにするためです。
(2)は、体にツツガムシが着いているかもしれないので、洗い流そうとするためです。皮膚の軟らかい隠れたところは、ツツガムシが好んで吸着するところなので、念入りに洗ってください。
ツツガムシがヒトの体に取りついてもしばらくは体の表面をはい回り、実際に吸着するまでには時間がかかります。さらに、吸着しはじめても病原体が体内に入るまでには何時間もかかります。このような時間を利用して、感染する前にツツガムシを早く洗い流し、予防しようとするものです。
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