あきた食料・環境・ふるさとを考える地球人会議

Earthman forum 2001
      

 平成13年12月1日、「地球人フォーラム2001」(主催:あきた食料・環境・ふるさとを考える地球人会議)が秋田市の県児童会館で開催された。地球人会議は、農業農村に理解を深めてもらおうと、平成11年5月に農業関係者らが設立。同年から毎年フォーラムを開催している。

 主催者を代表して地球人会議会長高畑進さんがあいさつ。「20世紀は、農業が工業化する時代であった。21世紀は、工業が農業化する時代だ」という含蓄に富む言葉を紹介、地球人会議の活動の意義を熱っぽく語った。
 会場を埋め尽くした参加者たち。当日配布されたパンフレットには次のように記されていた。
 「・・・私たちには幼い頃の思い出や豊かな自然など、ふるさとの温かいイメージがあります。21世紀のふるさとづくりの目標は、それを現実のものとすることではないでしょうか。今回は、ふるさとの現状、課題、展望など゛共に語ろう!我がふるさと゛をテーマにフォーラムを開催します。」
 「共に語ろう!我がふるさと」をテーマにパネルデスカッションが1時間半にわたって行われた。「ふるさと全体が丸ごと博物館」とみなした地域づくりを進めるエコミュージアムやグリーンツーリズムの振興が話題になった。
 コーディネーターは佐々木悦男さん(秋田魁新報社常務取締役論説委員長)。あなたにとって「ふるさと」とは、ふるさとづくりはどう進めるべきか、都市と農村の交流など、多岐にわたる話題を提供、パネラー4人とともに農業・農村の将来などについて語り合った。  秋田県写真家協会顧問の大野源二郎さん。「ふるさとは、母のような存在で、私に生きるエネルギーを与えてくれた。これまで撮りためた2000枚のフィルムを暗室で焼いた画像を見ていると、ふるさとは゛土恋いのうた゛そのものだった」と、ふるさとに寄せる思いを熱く語った。
 矢島町長佐藤清圓さんは、30年間にわたってネパール支援のボランティア活動を行った経験をまじえながら、全国に先駆けて町全体を博物館にしようとエコミュージアムによる町づくりを進めた経緯を詳しく説明(現在矢島町外5町の鳥海山麓地区で田園空間整備基本計画を検討中)。地域に住んでいる人たちが、地域の良さを知ることが大事。生き物は全て生まれたふるさとへ帰ってくる。ふるさとは「土の香り」だと語った。  昭和町で農家民宿「果夢園」を経営する館岡美果子さん。先輩たちに農業の良さを熱心に教えられ、改めて自分の家の果樹園を眺めてその素晴らしさを知った。お客さんは、都会の人たちが多いが、その多くは農業体験ではなく秋田の田園風景に心の安らぎを求めてやってくる。都会の人たちだけでなく、秋田の人たちにも利用してもらい、農業の良さを再認識してもらうことが、グリーンツーリズムの発展に欠かせない、と語った。
 消費生活アドバイザーの那須チカ子さんは、あきた田園空間博物館地方委員会の常任委員として現地調査や検討会に参加し、感動した出来事として二つの事例を紹介。一つは、峰浜村のかやぶき民家が全て離村し荒廃が進んでいたが、地元のボランティアグループの人たちが後世に残そうと修復活用する動きが出てきたこと。かやぶき民家は、農村の伝統的な文化遺産であり、周りの森や田んぼを含めてふるさとの貴重な原風景を残そうと立ち上がった新しい動きは素晴らしい。二つは、水の文化との出合い。仁賀保町と象潟町にある温水路は、先人たちが冷害を克服するために築いた歴史的な産業遺産で、田園景観に溶け込む水路は、水も清らかで思わず子供たちと一緒に水遊びをしたくなるような素晴らしい親水空間だった。農村には、こうした素晴らしい自然と田園景観、文化がたくさんあり、まず地域の人たちがその良さを理解することが大切だ、と強調した。
 「清水の里 わくわく探訪」に参加した感想文朗読・・・「清水の里 わくわく探訪」は、今年7月14日、地球人会議と秋田県土地改良事業団体連合会の共催で、清水の里・六郷町と大曲市で開催。小学校とその保護者約100名が参加し、湧水のしくみや農業の多面的機能を楽しく学んだ。その感想文を小学生2名が、スライド映写を背景に朗読した。

 秋田市立勝平小学校4年の小林弘太郎くんの感想文・・・「六郷町では、清水をそのまま飲んだり、野菜を洗ったりして使っていました。・・・六郷の清水は、氷のように冷たかったけれど、冬になると湯気を出すほどあたたかくなるなんて不思議です。・・・関田円形分水工では、七つの水路から農地へ水を分配しているそうです。昭和7年からずっと水を送り続けていて、よく止まらないな、と思いました。1.8トンもの水が、180コの穴から流れる様子は勢いがありました。

 関田分水工も頭首工も何十年も前から田畑に水を送り続けていて、おいしいお米づくりに役立っているのだなと思いました。・・・また機会があったら、六郷町へ行きたいです。そして、農業のことなどをもっと知りたいです。」
 秋田市立明徳小学校4年、佐藤和香奈さんの感想文・・・「・・・最初に行ったお台所清水で、水を手ですくって飲んでみたら、すっごくきれいで、すっごくつめたくて、すっごくおいしかったです。・・・清水は写真でみたよりだん然きれいでした。ニテコ清水やキャペコ清水は名前がおもしろいなァと思いました。おみやげにもらったニテコサイダーがとってもおいしかったです。

 水がわきでている所をみたのは初めてでした。水がボコンとわきだして、大きく周りに広がっていく所がすごかったです。

 きれいな水にしか住まないという白マスのつかみどりができて楽しかったです。家に帰っておかあさんにしお焼きにしてもらって食べました。自分でつかまえたし、とったばかりだったのでとてもおいしかったです。わたしがつかまえた白マスは、2匹だったのであっというまにペロリと食べてしまいました。

 ・・・水はわたしたちの生活にかかせない大事なものです。きれいなわき水を見てますます水を大切にしないといけないなァと思いました。」 
 「お米」の抽選会・・・参加した10人に1人が当たるという高確率の抽選会。そのクジを引くのは、高畑会長だが「10人のうち9人には恨まれるから余りやりたくない役だが・・・」
 高畑会長がクジを引く。当たったのは、右の写真の「お米」。
 最後は落語家・ヨネスケ(桂 米助)が「人生笑いがいちばん」の演題で講演。会場を埋めた観客を終始爆笑させた。
 桂 米丸師匠に弟子入りしてから真打ちになるまでの苦労話、歌舞伎や大相撲、落語といった伝統芸能から生まれた言葉や文字の数々をユーモラスに語り、それらは全て日本の貴重な文化だと訴えた。文明は、夏の冷房のようなもの。文化は、簾をかけ、風鈴を鳴らす・・・涼しさを心で感じるもの。
 「日本人は、すぐに新しいものに飛びつき、古い文化を次々と捨ててきた。外国から日本の文化は素晴らしい、と評価されるまでその良さに気付かない」と痛烈に批判。
 ヨネスケ師匠は、1時間余、終始笑いを巧みに誘いながら、滅び行くふるさとの文化を孫の代までしっかり伝えようとの熱いメッセージを送り続けた。会場を埋めた観客は、そのメッセージに大きな拍手で答えた。