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 美しい季節・鳥海山(秋田県矢島町)・・・フリーデジタルフォト100 阿部昭良写真集「みちのく秋田四季秀景」より

 「矢島町まちづくりグランドプラン素案策定調査報告書 〜エコミュージアムのまちづくりに向けて〜」の冒頭には、次のように記されている。

 「ふるさとは遠くにありて想うもの」そのような遠くで想うふるさとのまちをつくるのは誰か?・・・言わずもがな、その町に住む住民自身である。・・・しかし、何度か経験したワークショップ等を通じて感じることは、多くの住民は自分の生まれ育った町のことをほんの一部しか知らないことである。そして、彼らはもっと我が町のことを知りたがっているということである。もし、矢島が日本一美しいまちだったらどうだろう。日本中から注目されるようなまちだったらどうだろう。日本一でないにしても「捨てたもんじゃない」ということに気づくことで、「まち」に対する意識も大きく変わるはずである。行政もこのことを十分理解し、それを支援する必要がある。住民も地域のよさをもっともっと探求する必要がある。

 矢島町には、鳥海山に代表される豊かな自然環境と、長い時間のなかで育まれた歴史・文化とその遺産が数多く分布している。そしてこれらは町民の生活を支え、矢島らしさをかたちづくる重要な要素でもある。しかし、最近そのような文化性とか歴史、自然、風景といった地域に連綿と息づいてきた「当たり前のもの」が少しづつ壊されたり、失われたりしているのではないだろうか。もう一度足元から矢島の価値を見直す必要があるのではないか。「ふるさとは近くにありて創るもの」なのである。矢島町まちづくりグランドプラン(矢島町エコミュージアム構想)の策定は、このような背景からはじまった。」

(注)エコミュージアムとは・・・1960年代にフランスのジョルジュ・アンリ・リヴェール氏の提唱によって生まれた活動である。建物の中に展示する従来型の博物館とは異なり、自然景観、水路、建物等のほか、地域の産業や住民の生活そのものまでも含めた有形・無形の地域資源を対象とするもので、内容的には「地域全体が博物館」という思想に基づいた地域づくり活動である。
 土田家住宅(矢島町)・・・17世紀後半の建築と推定される県内最古の民家で、国指定文化財。主屋とその上前方に座敷中門が突き出す「中門造り」の住宅である。建築年代、柱の配置や仕上げなどから、東日本有数の古い民家で、中門造り発生の歴史を考える上で、学術上貴重な建造物である。
主屋は、釘や金物を一切用いず、栗材で丸味のある手斧仕上げの柱が1間ごとにたっている。広い住宅内、真ん中に囲炉裏があり、柱には古びた柱時計・・・長い歴史と心安らぐ空間が広がっている。 土間に設けられた囲炉裏。汗と泥だらけのままでも、ここで焚き火を囲み、食事や休憩、酒宴・・・をしたことだろう。周りには、古い農具がたくさん保存されている。
不動明王の滝。滝の傍らには、地域の水神様がまつられ、毎年4月には、五穀豊穣を祈願する祭りが行われている。滝周辺一帯は、金毘羅神社や乾田馬耕碑、古い町並み・・・歴史と文化を感じさせてくれる。
矢島町は、生駒氏の城下町として栄えた歴史をもち、家中と呼ばれた町の中心部には、武家屋敷や石碑、古道、遺跡・史跡が至る所に残され、情緒あふれる景観を形成している。
八森苑・・・讃岐(香川県)の領主生駒氏が、矢島に国替えされた時随行してきた重臣佐藤氏が代々住んでいた住居。戊辰の役で焼失し、現在の母屋と離れは、明治初期及び大正末期に、江戸時代の建築様式を取り入れて再建されたもの。 矢島町歴史交流館「道益苑」・・・左の八森苑と一体に地域の杉を用いて新築された歴史交流館(木造公共施設等整備事業)
 矢島町農林水産物直売施設「やさい王国」。この裏の川に歩道橋を架け、対岸に6町の鳥海山麓総合案内所を設置する予定。総合案内所は、伝統的な萱葺き民家を移設復元し、周囲はギフチョウ・ヒメギフチョウが生息できるような雑木林を復元する計画である。 八森城跡。矢島の町を見下ろす丘の上にあり、中世この地を支配した矢島氏が築造したと伝えられている。太い松の木や柳が濠周辺に林立し、古城の面影が伝わってくる。
 花立堤と鳥海山。右の写真は、星空の美しいまち全国第2位にランク(平成6年度環境庁調べ)された記念碑。花立堤は、生駒藩時代に築造された歴史的なため池である。堤周辺の水辺環境と合わせて、ブナ林、萱葺き民家群、土地改良記念碑などをゆっくり散策できる自然遊歩道として整備する計画である。
 矢島町には、今なお多くの中門づくりの民家が残っている。中門づくりは、秋田・山形から越後にかけて分布する貴重な民家建築。しかし、最近は萱葺き屋根の維持が次第に困難になってきており、その多くが失われようとしている。鳥海山麓地区では、農村の伝統的な建築物を田園空間博物館の貴重な資源として保存・活用することを検討している。(写真は、池田和子さんの写真集「山里残像」より)

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