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平成14年6月24日、工藤淳君からメールが届きました。
元気に奮闘している様子が伺われます。 (下山、記)


 日本では、雨ばかり降ってるんじゃないかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?

 エジプトではサッカーが一番人気のスポーツなので、みんなワールドカップには注目しています。買い物へ行って店員さんと話をして、こちらが日本人ということを知られると、日本を応援してくれているようなことを話してくれています。(たぶん)

 こちらの放送局も、日中は地上波で生中継しているほか、夜には再放送してます。ただ、実況はアラビア語です。

 たまにエジプト国内の結構いい試合と重なることもあるようで、その時には国内の試合が優先されて実況されています。先日もイングランドの試合を見ようとしてテレビをつけてしばらく見ていました。チーム名がアラビア語なので、どこ対どこなのか分からないまましばらく見ていましたが、どうもスタジアムの観客席がガラガラだし、おかしいな〜と思っていたら、メインスタンドにはムバラク大統領の写真が!結局国内のクラブチームの試合がカイロであったようで、いつものワールドカップの時間にその中継がされていたのでした。

 ワールドカップを見ていても、時折雨の中の試合だったり、後半になるといかにもバテている様子をみるにつれ、「日本だな〜」と、妙なところで日本を感じています。

 ここエジプトでは、毎日カラカラの良い天気で、週に1〜2日は40度を超す暑さになってきています。これから8月にかけてますます暑くなっていくそうです。ただ、湿気が無いので、プロジェクトエリアでは日陰に入るとだいぶ過ごしやすく、体感温度はそう高くはありません。建物の中では、暑いといって窓を開けても40度を超す熱風が入ってくるだけなので、窓を閉めていた方が過ごしやすいほどです。
 
 プロジェクトエリアの写真が少したまったので、お送りします。

 週に1〜2日はプロジェクトエリアへ出かけ、何かしら作業しています。
 
 カイロは喧噪の街ですが、プロジェクトエリアはのどかで、風が気持ち良く、時間がゆっくりと過ぎています。

 牛、馬、ロバがまだ大活躍です。
  羊たちは、こうしてみるとかわいいですが、集団になると交通の邪魔です。

 エジプトはイスラムの国なので、豚を飼っているところは見たことがありません。イスラム教徒は、豚肉に触ることすらできないようです。

 カイロでは、コプト教徒の肉屋さんで豚肉が売られているので、外国人は一応手に入れることができます。
 各農家が数頭づつの牛や馬、ロバなどを飼っていて、自然と複合経営的になっています。堆肥は農地へ還元されています。

 時折、こうして大きな水路等で水浴びさせています。

 そこでは、食器も洗い、子供たちが水浴びをし、近くでは魚釣りをしたりしています。

 飲料水は、ここから浄水地を経て、水道で供給されています。

 こうした水路はとても生活と密着しています。
  意外だったのは、稲作が盛んなことです。夏は水稲・綿花・とうもろこし・野菜等が栽培され、冬は小麦・牧草・砂糖だいこん・野菜といった2毛作が一般的です。

 左の写真は、6月に入り田植えもほぼ終わったところです。刈り取りは9月頃です。
 エジプトは国土約1億ヘクタールで、その95%以上が砂漠地帯ですが、残りのほとんどは農業利用されています。エジプトの農地総面積は340万ヘクタールですが、2毛作によって作付け延べ面積は543万ヘクタールとなっていて、日本の作付け延べ面積462万ヘクタールを上回っています。

 水稲の作付面積は、日本の180万ヘクタール(1998年)に対してエジプトでは65万ヘクタール、モミベースの生産量は日本の1,120万トンに対してエジプトは約半分程度の550万トンです。

 1ヘクタールあたりのモミベース生産量でみると、日本の6.4トンに対してエジプト8.5トンと、世界一の多収量を誇っています。

 考えてみれば当たり前で、毎日良い天気で強い日射と高い温度、雨も降らないから災害も起きず、水はナイル川から流れてくるのですから。
 4月頃から、こうして苗代の準備が始まりました。

 なお、周りの緑は牧草で、ベルシーム(エジプシャンクローバー)と呼ばれるものです。主に自分の家の家畜のために栽培しています。こうした従来からの作付け体系が、結果的に土壌の通気性や通水性を高め、良い結果をもたらしているそうです。
 苗代の様子です。

 化学肥料や農薬は、適宜使われています。

 日本よりも相当大きくなるまで苗代で育てています。
 水を張る前にトラクターで水田を均すか、水を張ってからこうして牛や馬で水田を均すかで、日本のようにロータリーで土を耕すような代かきは行われていません。

 
  左の写真ではちょっと見づらいですが、田植えは手植えです。こうして、ある程度苗の束を配置してから、植えていっています。

 こちらで田植え機は見たことがありません。


 エジプト人の主食はパンですが、ごはんもよく食べます。農家が米を作るのには、自分たちで食べる米を確保する意味もあるそうで、その点どこも同じだな〜と実感しています。一度お昼に呼ばれたときも、日本と変わらない白米を出してくれました。

 エジプトで栽培されている米の8割はジャポニカ米なので、私たち日本人は普通にスーパーで米を買い、普通にこちらで売っている炊飯器でご飯を炊いて食べています。違うのは、こちらの電気が220Vなので、15分程度で炊けてしまうことでしょうか。ただ、さすがに15分では芯が残っていますので、その後十分に蒸らす必要があります。

 味は、あきたこまちほどではありませんが、悪くはありません。
 これは、4月頃に見られた小麦の刈り取り風景です。たぶん稲刈りも同じようなやり方でしょう。

 稲刈り機・コンバインでなく、手刈りです。

 こうした人海戦術的な農作業では、女性たちが活躍しています。
 刈った小麦は、脱穀までの間こうしてほ場に置きっぱなしにされています。

 雨はまず降りませんし、降ってもすぐ乾くので、心配ないのでしょう。
 脱穀は、トラクターの原動力を使った、脱穀機が使われています。

 煙のように見えるのはわらで、細かく裁断されて、ほ場へ還元されています。
脱穀機です。脇の丸い回転部へトラクターからのベルトをかけて回します。

 本当は作業中の写真をとりたかったのですが、カメラを向けるとどうしても作業をやめてカメラ目線になってしまいます。

このおじさんが座っているところに上がり、上から小麦を投入します。すると、
 左に見えるノズルから裁断されたわらが吹っ飛び、その下のほうへ脱穀された小麦が出てきます。

 上の写真のおばちゃんは、でてきた小麦をふるいにかけています。
 農道が2〜2.5m位しかないので、脱穀機の移動には苦労しています。

 ちょくちょく水路に落ちそうになって、みんなで押しています。
 ここでも、内側の車輪が水路に落ちるので、板を渡して無理やり通そうとしていました。なんとか成功しました。
 収穫された小麦です。

 こんな感じで農家の集会を開き、水利組織のことで話し合いを続けています。

 気候も、国民性も、宗教も、日本とはだいぶ異なるこの国ですが、プロジェクトサイトの風景は日本とそれほど違うわけでもなく、写真だけだとどちらの国か分からないくらいです。ちょうど、日本でも数十年前の農村はこんな雰囲気だったのでは?と思えてきます。

 今回はいつも私がうろうろしているあたりの写真でしたが、いかがでしたでしょうか。

 それではまた次回。 (2002年6月21日)



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