ハリザッコ(イバラトミヨ)の研究・保全活動
   
六郷中科学部が世界水フォーラムに参加
(第1報)
 2003年3月16日から23日の日程で、京都府、滋賀県、大阪府を会場に行われる「世界水フォーラム」に、秋田県仙北郡六郷町立六郷中学校科学部が参加することになった。フォーラムの中で六郷中学校は、3月19日に開催される「日本地下水研究会セッション」の「児童・学生による活動事例報告」において、日本から参加する5団体のトップバッターとして「ハリザッコ(イバラトミヨ)の研究記録」をテーマに発表する。発表の副題は「ハリザッコ遊ぶ、あの郷愁の情景を再び」となっている。

  中学校正面玄関に置かれたハリザッコ飼育用の水槽と科学部のメンバー。
左から、一年生の松田君、藤井君、畠山君、2年生の加藤君と部長の武藤君、担当教諭の堀井先生。
 世界規模のビッグイベントに参加する5人の部員は、「世界水フォーラムへの参加が決まり、とてもうれしい。悔いの無いように、聞き取りやすく、はっきりとした発表をしたい」と参加の意気込みを語ってくれた。
 



 世界水フォーラムは、世界の水問題を解決するために、水に関するあらゆる分野の人々が世界中から集まり、分野を超えて知恵や経験を共有する場となる。今回で3回目を数える世界水フォーラムは、21世紀最初、そしてアジアでの最初の開催となる



 清水の里、六郷。
 六郷湧水群は、昭和60年に環境庁から「全国名水百選」に選定され、平成7年には国土庁の「水の郷」に認定された。町の中心部に60カ所以上ある清水のほとんどには、その清水にまつわる景観や歴史などから情緒ある名前がつけられており、今でも、生活用水や農業用水として使用されている。







 イバラトミヨ。通称、ハリザッコ。氷河時代の生き残りとされるイバラトミヨは、水温が年間を通して15℃前後のきれいな湧き水のある場所に棲む。特に、仙北、平鹿、雄勝地方の湧水地帯にしか生存しない「イバラトミヨ雄物型」は、学術的にも貴重な淡水魚とされている。
 六郷中科学部では、イバラトミヨを「清水の健全度をはかるバロメーター」と考えている。

 中学校の正面玄関を入ると一番最初に目に留まるのが、ハリザッコの飼育水槽。 水槽の回りには、ハリザッコについてわかりやすく解説した掲示物や県内のトゲウオ類の生息地の模型などが置かれている。 この他に、科学部では生態観察用の水槽を2つ所有している。



 
 廊下にはられた、ハリザッコやビオトープづくりに関する掲示物。
 科学部では、ハリザッコの研究成果について、平成13年に六郷町で開催された「日本地下水学会」でも発表している。また、文化祭での発表や町の公報などでも紹介されていることから、生徒や父兄のみならず、地域住民からもその研究成果について高い評価を得ている。


 六郷中学校科学部がハリザッコの飼育と研究を始めたのは4年前の平成11年。そのきっかけは、同年2月に環境庁(当時)が発表した「絶滅危惧種」のリストにハリザッコが載ったこと。 研究開始当時は、水槽と校内のビオトープでの飼育・観察が中心だったが、その後、活動は本格化し、町内各清水やそれに接続する水路でのハリザッコの生息調査、稚魚の清水への放流やその追跡調査、さらには、ハリザッコの生息に適した清水の水質調査なども行っている。

 5人の部員は、ハリザッコの研究活動を通して、次のようなことを感じていると話してくれた。
「今までわからなかったハリザッコの生態が少しずつわかるようになり楽しい」
「発表では、みんなが真剣に聞いてくれる。そして、研究成果に対しては、とても感心してくれるので、うれしい」
「中学に入って清水にあまり行かなくなったが、追跡調査などを通し、清水が身近に感じられるようになった」

 また、担当教諭の堀井先生は、
「生徒には、ハリザッコの巣作りやふ化を通し、生命誕生の感動を味わってほしい。そして、ハリザッコの研究や放流に誇りを持ち、ふるさとの自然を自分たちの手で守っていくことの大切さに気づき、その気持ちを育んでいってほしい」と話してくれた。

                   
取材協力 : 六郷町立六郷中学校科学部
         六郷町企画課

取   材 : 秋田県仙北総合農林事務所 土地改良課
         TEL 0187-63-6116