1. 目的

 林業生産活動の停滞や森林所有者の高齢化、不在村化等を背景として、間伐等の森林施業が十分に行われていない人工林が発生するなど、森林の有する多面的機能の発揮に支障をきたすことが懸念されている。
 このような状況に対して、森林の有する多面的機能が十分に発揮されるよう適切な森林整備の推進を図る観点から、森林所有者等による森林施業の実施に不可欠な森林の現況の調査その他の地域活動を支援するため、交付金制度を創設する。

2. 制度の仕組み

1 対象森林
 認定を受けた森林施業計画の対象とする森林(30ha以上のまとまりを有する団地)

(1) 対象森林は、森林法(昭和26年法律第249号)第11条第4項の規定に基づき認定された森林施業計画の対象とする森林。
 ただし、以下のいずれかに該当する森林は除外する。
@ 都道府県知事又は市町村長が、作成主体となっている森林施業計画の対象森林
A 緑資源公団が行う水資源林造成事業により造成されている森林
B 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に定義する中小企業者以外の会社(以下「大企業」という。)が作成主体となっている森林施業計画の対象森林
C B以外の森林で大企業が所有している森林
(2) 森林法の一部を改正する法律(平成13年法律第109号)附則第7条の規定に基づき、改正後の森林法第11条第4項の規定に基づき認定を受けた森林施業計画とみなされる森林施業計画については、森林法施行令(昭和26年政令第276号)第3条に定める「一体として整備することを相当とする森林の基準」(30haのまとまりを有する団地)をみたしているものに限り対象森林に含めるものとする。

2 交付対象者
 交付金の交付の対象となる者(交付対象者)は、対象森林に係る森林施業計画の作成主体とする。

 対象森林の森林所有者のほか、経営の受託等により森林所有者に代わって森林施業計画を作成し、認定を受けた者(森林組合、素材生産業者等を想定)も交付対象者となることができる。

3 支援の実施
 交付対象者は、交付金の交付を受けるためにあらかじめ市町村長との間に、対象行為、交付金の交付方法、協定を廃止した場合の措置等について協定を締結する。
 交付対象者が対象行為を実施し、市町村長が対象行為の実施を確認した後に、市町村長から交付対象者に交付金が交付される。

(1) 協定
 市町村長は、森林施業計画ごとに協定を締結する。この場合、複数の森林施業計画を合わせ、一の協定を締結することもできる。
 協定は、協定の対象となる森林施業計画の対象森林のうち、同一の市町村内に所在する森林の森林所有者等(森林施業計画の認定を受けた者に限る。)の全員と市町村長との間で締結する。
 ただし、やむを得ぬ事情により協定に参加できない森林所有者等がいる場合には、当該森林所有者等を除外して協定を締結できることとし、この場合、当該森林所有者等の森林を対象森林から除外することとする。
 また、数人が共同で森林施業計画を策定している場合は、協定の中で、交付対象者の中から代表者を選出し(必要に応じ運営委員を選出することも可)、代表者に対象行為の実施、対象行為の実施状況の報告、交付金の代理受領等を委託することができる。

(2) 対象行為
 対象行為は、市町村長と交付対象者との間で締結する協定に基づき行われる下表に掲げる施業の実施に不可欠な地域活動とする。

地  域  活 動
具 体 的 内 容

(1) 森林の現況調査
 施業の実施区域、作業方法等を決定するに当たり必要となる林木の生育状況、雑草木の繁茂状況等の調査
 林道、一般公道から施業箇所までの作業道や歩道のアクセスの状況(施業箇所までの移動経路や間伐における伐採木の搬出経路等)の調査

(2) 施業実施区域の明確化作業
 所有界の確認、施業実施区域界の刈り払い、簡易杭やペンキ等による標示、区域の位置・形状・面積を把握するための簡易な測量

(3) 歩道の整備等
 施業箇所に到るまでの既設の作業道や歩道の刈り払い、補修、既設歩道間等を連絡する歩道の新設
(4) その他 森林の現況調査や施業実施区域の明確化作業の結果の取りまとめ、対象行為請負者への通信連絡等

(3) 対象行為の実施
 交付対象者(代表者)は、地域活動として上表に掲げる行為のうちから(1)から(3)のいずれか1つ以上を、毎年度、実施することとする。

(4) 対象行為の実施状況の報告
 交付対象者(代表者)は、毎年度、協定に基づき実施した対象行為の実施状況について市町村長に報告する。

(5) 対象行為の実施状況の確認
 対象行為の実施状況の確認は、交付対象者(代表者)からの実施状況報告に基づき、市町村の職員が、書類審査及び現地確認により行う。
 市町村長は、対象行為の実施状況報告を確認した結果、当該対象行為が協定に基づき適正に実施されていると認められた場合には、交付金を交付する。

(6) 森林組合等への委託
 交付協定者(代表者)は、対象行為の実施、実施状況報告書の作成、交付金の代理受領等の交付金に係る行為(事務)の全部又は一部を森林組合等に受託することができる。

4 交付金
 国の交付金の交付単価は、積算基礎森林1ha当たり5,000円とする。
 なお、地方公共団体が国の交付金と連携して一体的に交付金の交付を行う場合の交付単価は、積算基礎森林1ha当たり1万円となることを想定して所要の地方財政措置が講じられている。

(1) 交付額
 交付対象者への交付額は、(2)の積算基礎森林の合計面積に交付単価を乗じて得た金額とする。

(2) 積算基礎森林
 積算基礎森林は以下のとおりとする。

ア. 林齢が協定締結時点において35年生以下である人工林

イ. 林齢が協定締結時点において36年生以上45年生以下である人工林であって、次の要件を全て満たす森林
a. 市町村森林整備計画で定める公益的機能別施業森林区域内に存する森林であること
b. 協定締結後協定期間中に施業を計画している森林であること
c. 当該施業が35年以下の人工林と一体的な施業が行われる森林であること
ウ. 林齢が協定締結時点において60年以下である育成天然林

(3) 積算基礎森林の追加
 協定締結後の植林等により上記(2)の条件を満たす森林が生じた場合には、植林等の施業の実施を確認した上で、当該森林を積算基礎森林に追加することができる。
この場合、積算基礎森林に追加された年度における地域活動については、対象行為に含めることとする。

(4) 協定を廃止した場合及び協定違反の場合の取扱い
 協定を廃止した場合及び協定違反の場合とも、自然災害等の不可抗力の場合を除き、原則、協定締結時に遡り交付金を返還する。

5 事業実施期間
 事業実施期間は、平成14年度から平成18年度までの5か年間。

6 地方公共団体の役割
 国と地方公共団体とが共同で、緊密な連携の下に森林整備のための地域活動を支援する。

(1) 市町村は、協定の締結、交付金の交付等の事務を実施する。
(2) 都道府県は、交付金の交付等を円滑に進めるための事務を実施する。
(3) 都道府県と市町村の負担割合は、原則、同等とする。都道府県は交付金を収入とする資金を設け、都道府県の負担額と資金からの拠出額をあわせて市町村に交付する。