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秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業
(ふるさと水と土基金・棚田基金)

 平成17年6月26日(日)、秋田県平鹿郡大森町の塚須沢集落で、「グランドカバープランツを使った草刈りの省力化を実践するワークショップ」を秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業により開催しました。
 地元塚須沢集落の方をはじめ、大森町役場、平鹿地域振興局の協力もあり、HPやチラシ等をみて地域外の横手市内、由利管内、雄勝管内などからの参加もあり、最終的には見学者も含め約45名の参加がありました。

 田んぼが整理されたり、水路が整備されたりして、農作業の省力化は少しずつ図られていますが、どうしても手間のかかる作業にならざるを得ないのが畦畔や水路溝畔の草刈りです。
 特に中山間地域のように、落差が大きく法面の長いところでの作業は、重労働であり危険も伴います。
 そこで、これを解消するひとつの方法として、一般にグランドカバープランツと呼ばれる低草丈の植物で地面を覆い、背丈の高い雑草を抑制するという方法が各地で試されています。
 このワークショップでは、草刈り作業の省力化につながる可能性を持ったグランドカバープランツの導入を、農家を中心とする地域住民と、地域以外の住民による協力・協働作業として実施することを目的として行いました。

今回、植栽場所として地元で選定した畦畔と水路溝畔(約100m2)。事前に除草剤で在来雑草を処理してます。

まずは、作業内容についてみんなで確認します。さすが、地元の方はいでたちが完璧です。


苗を水に浸ししっかり吸水させます

空梅雨で乾燥し、法面が非常に堅かった!

この地域は綺麗な沢水を直接用水としています

水をたっぷり与えながら手作業で植えていきます

 塚須沢は中山間直接支払い制度を活用し、水路の整備などを自分達で汗を流しながら実施している集落のひとつ。そのためか、誰が指図する訳でもなく、自然な作業分担があうんの呼吸で展開していくのには、感動を覚えました。「集落による集落のための共同作業」。こうやって農家の方々は昔から農地を、ひいては農地のもつ多面的機能を守ってきたのですね。

上流水田の畦畔と下流水田の水路溝畔にはティフブレアを1600株定植

上流の休耕田の水路溝畔にはヒメイワダレ草を120株定植

残りのエリアにはアジュガ、クリーピングタイム、ペニーロイヤルミントを各40株ずつ定植


(数多くの品種が全国で試されていますが、今回は以下の品種で実施しました)
ティフブレア
(耐寒性センチピードグラス)
●科名:イネ科
●年生:宿根草
●草丈:10-25cm
ヒメイワダレ草
●科名:クマツヅラ科
●年生:多年草
●草丈:5〜7cm
アジュガ
●科名:シソ科
●年生:多年草
●草丈:10〜30cm      
クリーピングタイム
●科名:シソ科
●年生:多年草
●草丈:5〜10cm
ペニーロイヤルミント
●科名:シソ科
●年生:多年草
●草丈:5〜20cm


親子で参加

自宅での実践に向け研究熱心な地域外からの参加者

上手に植えられるかな

薄曇りでしたが、暑い1日でした

作業後のヒトコマ。12戸からなる塚須沢集落の団結を深めるための大切な時間です。
塚須沢について
 秋田県南部に広がる平鹿平野の西、雄物川の左岸支流上溝川沿いに開けた大森町八沢木地区から南に分ける塚須沢地区。12戸からなる集落(13haの水田保有は地区外も含めて18戸)は、平場とは違う中山間地域ならではの悩みのひとつとして、ながーい法面の草刈りをあげています。
 自力施工で整備してきた地形勾配に沿った水田と、集落でとりくんでいる中山間直接支払制度による水路の整備により、残る苦労は、なによりも草刈り。ワークショップ後に話を伺ったところ、「年に3回も4回も草刈りしているけれど、まるで競うようにみんな綺麗に草刈りをするのが昔からこの地域の特徴だ」とのこと。町内の他地域から訪れる人も一様に塚須沢の草刈りのマメさに感心するといいます。
 しかし現実問題として、みんな兼業農家であり、どうしても農作業は土日に集中する。「田植えと稲刈り以外は春から秋までずっと草刈りの週末だ」と話す会長さん。だからこそ平場とは違う、中山間地域集落としてみんなで協力してできる新しいこと、それを見つけて集落で取り組んでいくことこそが塚須沢の生き方だとおっしゃっていました。
 グランドカバープランツはまだ全国的にも試験的な取り組みがほとんどであり、まだまだメジャーなものではないけれども、地域で農地の多面的機能を維持していくひとつの手法として、ワークショップの実施に手をあげたということでした。
 まもなくホタルが舞い始める塚須沢集落。一部の家では首都圏からの修学旅行生の農作業体験などを受け入れたりもしているとのことです。美しい水田とそれを守る美しい人達の住む塚須沢。グランドカバープランツへの取組により、またひとつ魅力が増えたかも知れません。

  中山間地域をはじめとする農山村地域では、農業者による営農、地域や集落の共同活動を通じて、土地改良施設(農業用用排水路.ため池.農道.堰など)や農地を中心とした地域資源を適切に維持・保全してきました。しかし過疎化・高齢化・担い手減少・担い手への作業の集中などにより、集落機能の弱体化、維持管理水準の低下を招き、地域農業の維持のみならず、災害の防止や水源の涵養など国土保全上の重要な役割、美しい景観の形成や伝統文化の継承などの多面的機能の維持が農家のみでは困難になってきています。
 県ではこのような状況を改善するために、「秋田県中山間地域土地改良施設等保全対策事業」を実施しており、平成16年度には「秋田県中山間ふるさと水と土フォーラム」や、「現地見学会」などを実施したり、「新・田舎人」による広報活動等も実施してきました。そして今年度、実際に農家を中心とする地域住民と、地域以外の住民が協力・協働して中山間地域の多面的機能の維持活動を実践しようと、このようなワークショップを開催しました。
 塚須沢地区でのこのワークショップの成果を活かしながら、また平成18年度以降も同様の取組を検討していきます。
 また、「美しき水の郷あきた」で定期的に塚須沢地区のグランドカバープランツの成長を報告して行く予定です。


秋田県農林水産部
農山村振興課定住環境整備班
○TEL:018-860-1858
○FAX:018-860-3815
直線上に配置

編集:秋田県農林水産部農山村振興課定住環境整備班

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