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秋田さきがけ 2001.7.15 農林漁あきた

 絶滅の恐れがある淡水魚・イバラトミヨの生育環境が、大規模圃場整備によって失われないよう、県は昨年度から太田町、雄勝町などの生息域で生態系保全型の圃場整備事業を進めている。本年度行われる水路整備では、保全対策のため農家負担が増える分について、県が補助金を出すことになった。県農地整備課は「圃場整鯖の農家負担分を都道府県が補助するという事例はこれまでにないが「希少生物を守るために必要な支出」としている。

県南で実施 支出増を県費負担
県南部の湧水のある池などにすむイバラトミヨ。

 イバラトミヨはトゲウ科の淡水魚。体長6cm前後で、背びれに8-10本のトゲがあり、生息域のある県南部では「ハリザッコ」と呼ばれている。主に湧水(ゆうすい)のある低温で清らかな沼や、湧水が注ぎ込む水路などにすんでいるが、最近は生息域が減少。「県版レッドリスト」では「絶滅危ぐ種TA類」に分類されている。(右の写真は、平鹿町教育委員会提供)

 そのイバラトミヨが生息する水路が、県が県南部で実施している大規模圃場整備事業で壊されてしまうことが昨年分かった。このため、県は同年夏から今年冬にかけて、太田町、雄勝町のニカ所で保護池を造"、事業実施区域のイバラトミヨを移した。本年度は太田町、中仙町、平鹿町の三カ所の生息域で圃場の水路整備を実施することになっており、県は水路の一部をイバラトミヨが生息できる生態系保全型水路にすることにした。

専門家の助言で設計


イバラトミヨが生息できるように設計された人工の保護水路と保護池

 保全型水路は、素掘りの溝の側面に自然石を張り付け、底にはイバラトミヨ生息域から運び出した土を入れるという構造。土には水草や微生物、イバラトミヨのエサとなるヨコエビなどが入っており、生息域の生態系を丸ごと再現する試み。「地下水や水生生物の専門家の助言に基づき設計した。昨年設置した保護池では、イバラトミヨの繁殖が進んでいることが既に確認されている。基本的には同じ構造なので今回もうまくいくと思う」と農地整備課。

 保全型水路の工事費は通常のコンクリート水路の三倍。圃場整備事業費の一割を負担する受益農家の支出も掛かリ増しになるため、県は農家の理解を得るのは難しいと判断。農家負担の増加分一千万円を県費で賄うことにし、六月補正予算に盛り込んだ。

全国でも先駆的事業

 「圃場整備は本県の農業の将来にとって不可欠な事業。一方、環境に対する県民の関心が高まる中、希少生物保護も重要な課題。生態系に配慮した圃場整備事業は、全国でも先駆的な取り組みにになると思う」と同課は話している。

 県では、今後もイバラトミヨ生息地域で圃場整傭を実施する際は、保護池、保全型水路などの生態系に配慮した工法を採用していく。農家負担増加分に対する補助も続ける予定。また、この工法で池や水路が造られた地域ではモニタリング調査を実施し、効果を検証していく。

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