秋田さきがけ 2002.4.5
農業用ため池で捕獲されたブラックバス

秋田市の女性 日本顎口虫症 国内初の発症
秋大医学部調査で判明 注意を喚起


 秋田市郊外の農業用貯水池で釣られたブラックバスを刺し身で食べた同市内の女性が、寄生虫病の「日本顎口虫(がくこうちゅう)症」にかかっていたことが四日までに、秋田大医学部の研究調査で分かった。ブラックバスを食べた人から同症が確認されたのは国内で初めて。研究調査した同大の吉村堅太郎・前医学部教授(寄生虫学)は「生で食べると今後も起こり得る。熱を通すことが必要」と注意を喚起している。

 吉村前教授ら秋田大の研究グルーブによると、女性は昨年五月、ブラックバスを知人からもらい、刺し身で食べた。二週間後、腹部に赤い線状の発疹(ほっしん)が現れ、太さ二、三ミリのみみずばれが三本出て、うち一本は腹を横断するほどになった。この発疹が腹部を動くことから、女性は同市内の総合病院で受診。連絡を受けた同大の検査では寄生虫を発見できなかったが、女性が食べ残し、冷凍保存していたブラックバスの身(約百七十グラム)を調べた結果、日本顎口虫の幼虫七匹が見つかった。後日、女性の知人に同じ貯水池でブラックバスを釣ってもらったところ、九匹のうち六匹から、同じ幼虫が発見された。研究グループは「ブラックバスが日本顎口虫に感染した小魚を食べるなどして体内に蓄積されていた可能性が高い」とみている。

 女性は寄生虫用の薬の投与後、十七日後に完治した。日本顎口虫の幼虫が体内に入った場合、腸壁を突き抜けた後、皮膚の表面近くに移動するが、最終的に幼虫は死ぬ可能性が高いという。

 同虫の成虫はイタチの食道壁に寄生。その卵がイタチのふんを通じて体外に出た後、水中で発育、艀化(ふか)。幼虫がミジンコに取り込まれるなどしてほかの生物の体内に入り込んでいく。人ヘの感染経路はこれまでドジョウやナマズが分かっていたが、ブラックバスからは初めて。

バス釣り廃れ 大繁殖の恐れ 関係者ら懸念

 全国内水面漁業協同組合連合会は在来魚保護を目的に、ブラックバスを釣ったら食べて駆除する「キャッチ・アンド・イート」運動を展開。本県でも八郎湖などで同様の動きが広まりつつあるが、専門家らは「他の淡水魚と同じで、生食は禁物」と以前から指摘していた。

 県水産振興センターの杉山秀樹内水面利用部長は「皮をはいでムニエルにすると大変おいしく食ベられる。しっかりと熱を加えて食べれば問題はないが、一方で『刺し身で食うとうまい』との話を聞くこともしばしばある」と話す。

 今回の発症確認について杉山部長は「バスは怖いというイメージが定着してバス釣りが廃れていく可能性もある。そうなれば駆除が進まず湖沼で大繁殖する恐れもあるのではないか」として今後に与える影響を懸念している。

 左:ブラックバスのフライ 右:ブラックバスの煮付け
 ブラックバスは、皮を剥ぎ取ると、生臭みが消ます(他の方法・・・熱湯をかけ、塩でもみ、バスの粘液をとれば、美味しく料理できます)。三枚におろしてからムニエル、フライ、唐揚げ、煮付けなどにすれば、クセもなく美味い。生食は危険と言うだけで、「焼く、煮る、油で揚げる、蒸す」といった熱を加えた料理なら安全で美味しく食べられます。