秋田さきがけ 2002.4.5
 完成した秋田県版レッドデータブック。左が植物編227ページ、右が動物編237ページ。一般販売は4月16日から、一冊千円。

 県は4日、県内に生息する野生生物のうち絶滅の恐れのある種を網羅した「県版レッドデータブック」の植物編と動物編をまとめた。10年度から三次にわたって作成、公表してきた「レッドリスト」の集大成。絶滅種やごく近い将来絶滅の危険性が極めて高い絶滅危ぐ種1A類など10段階に分類し、動植物合わせて1235種を盛り込んだ。一般にも販売する。

 絶滅種に挙げられたのは、ホンドジカ、クニマスなど動物5種とイヌドクサなど植物18種の計23種。これまでのリストで絶滅種としていたカリガネソウなど3種は、最近になり発見例があったため、ほかに分類するなど一部手直しもある。絶滅危ぐ種は720種を掲載している。

 それぞれの種ごとに分布や生息の状況をまとめているほか、「生存に対する脅威」として、絶滅を招く危険要因を指摘。ため池にすむシナイモツゴ(絶滅危ぐ種1A類)はブラックバスの放流、高山植物のコマクサ(同)は園芸のための採取や観光客による踏み付け、山林に生えるギョウジャニンニク(絶滅危ぐ種2類)は食用採取がそれぞれ脅威であるとしており、人間の安易な行動が種の絶滅を招きかねない現状が読み取れる。

 県自然保護課は「水辺など人間と密接なかかわり合いの中で生息している動植物にも、絶滅の危機が迫っている。現状を正しく理解し、保全活動への理解を深めるきっかけにしてもらいたい」としている。

 A4版、カラーで植物編227ページ、動物編237ページ。動物・植物編の各千部を県内の公共機関に配布。一般には各三千部を一冊千円で16日から販売する。問い合わせは、県環境と文化のむら協会事務局(県自然保護課内)電話018-860-1613
 秋田県版レッドデータブック動物編の口絵。絶滅のおそれのある野生生物の美しい写真がたくさん掲載されている。
 農業農村に関連する河川・湖沼生態系、耕地生態系の概要については、次のように記されている。

河川・湖沼生態系
 ・・・平野部に位置する大小さまざまな河跡湖やため池群の中には、県内の生物相を特徴付ける希少な淡水魚類、水生植物や湿原植物が残存している。しかし、利水等を目的とした開発、ブラックバス等の移入種による在来種の駆逐等の問題がある。

 また、平鹿・仙北地域等の扇状地に多く分布する湧水地帯には、希少なイバラトミヨ雄物型や水生植物が生息・生育する特異な生態系が形成されている。この生態系は水田地帯と密接な関係があり、当該地の広域的・一体的保全が課題となっている。

耕地生態系
 ・・・耕地生態系、特に水田地帯は、河川、ため池、用排水路等と、水を介して繋がった複合的な生態系をなしている。そこには、メダカ、カエル、ホタルなどの身近な生き物が数多く生息していたが、高度経済成長期を境として、社会・経済条件の大幅な変化から、耕地における生物多様性が減少してきている。このため、一部の水生植物や淡水魚、昆虫の中には、絶滅の危惧が指摘される種まで生じている。近年は農業関係の各種事業において、環境に配慮した対策が検討されているが、人為的な影響を非常に受けやすい生態系であることには変わりがない。