「勝平得之創作木版画」

 8月中旬に穂が出て開花受粉し、やがて成熟をむかえる。10月に入ってから稲刈りをするが、1年間の苦労がむくわれる時でもあり、刈り取る手にも自ら力が入る。
 昔の稲刈りは、草刈り鎌の古いのを使っていたが、明治のはじめころからノコギリ鎌を使うようになり、稲刈りは少し楽になった。
 刈り取った稲束は、杭掛けやハサ掛けの方法で自然乾燥させていた。昭和40年の秋田県農業試験場の調査では、杭掛け64%、ハサ掛け38%で杭掛けが大部分を占めていた。「一般には、海岸部や平坦部に杭掛け、山間部にハサ掛けの傾向が見られる」と分析している。

稲刈りの風景。昭和30年代前半、仙北郡内。 稲の乾燥・杭掛け…刈り取った稲束を一本の杭に40〜50把をかけるため運ぶ。杭と杭の間隔は約150cm。
稲の乾燥方法ー杭掛け
刈り取りは鎌を使う。一株一株をていねいに刈り、二手刈りとし、稲茎で束ねる。
刈り取った稲は、その日のうちに畦畔に50把又は40把を積み重ねておく。杭もあらかじめ準備する。
畦畔の上に勢いをつけて杭を刺しこみ、最後は手でゆさぶって動かなければOK。 稲束二把をもち地上から30〜40センチの高さに、ツナギで固く杭に結びつける。竹や棒などを使ってズリ落ちを防ぐようなことはしなかった。
稲束は、杭をはさんで二把ずつ交互に穂先が外へ出るように順次積み重ねる。はじめにモミを乾かすためである。 全体の半分の25把を積み重ねたところで、ツナギで稲束の二把を再び杭に固くしばりつける。
稲束を積み上げたら、最後の二把で杭を中心に交差させる。風で稲束が吹き飛ばされることを防ぐためである。 一本の杭に50把積み重ねられる。バインダーで刈った稲束は大きいので、一本の杭に40把かける
束立て…刈り取った稲束を田面や畦畔に穂を下にして立てて乾燥させる方法。 ハサ掛け 由利地方
刈り取った稲束を、木で組んだハサに掛けること。2〜3日束立てした後二つに振り分け、一把ずつ掛ける。女性が乗っているのは、ウシと呼ばれる脚立でハサ掛けのときよく利用された。
楽になった稲作…田んぼの長辺が100m、短辺が30mのほ場整備が進む昭和40年代後半から、本格的な農業の機械化が進んだ。ほ場整備と農業の近代化は、農村にとって歴史的な大事業であった。 コンバインで稲刈りをし、直ちに脱穀する。今では長辺200m、短辺50mの1ヘクタール大区画が標準となっている。昔を思うと信じられないような技術進歩に驚かされる。