21世紀土地改良区創造運動〜稲川土地改良区の取り組みの紹介




土地改良区体験学習「どろんこ学校」を開校!


 今日は、5年に一度のため池大掃除(排泥)の日。ため池から排出される”どろんこ”に混じって、コイやフナが出てきます。大物賞は誰の手に?
 土地改良区は農業に必要な農水の確保、このための施設の整備や管理、そして水田や畑の整備など、食料を生産する基盤の整備、管理を中心に活動している農業関係者の集まりです。
 この土地改良区の果たしてきた機能、役割改めて見直し、国民のみなさんに理解を深めてもらうとともに、近年、社会的に期待の高まっている食料生産以外の農業農村の持つ様々な機能を効果的に発揮することを目指して、土地改良区の新たな機能、役割について地域のみなさんと一緒に考えていくことが大切であると考えます。
 こうした観点から、全国の土地改良関係者の理解と協力を得て、「21世紀土地改良区創造運動」を展開しております。 


  稲川町は横手盆地の南東部に位置し、JR十文字駅から9q(車で約15分)で、東北に増田町、西は湯沢市、南は皆瀬村に隣接する人口1万1千人の町です。
 奥羽山脈の西にひらけ、雄物川の支流、皆瀬川の中流部にあり、平地は広いところで2.5q、狭いところでは1.1qと細長い形をしており三方を山に囲まれています。
 稲川町は、江戸時代から変わらぬ手作りの技を守る「稲庭うどん」、やわらかくて美味しい銘柄和牛の「三梨牛」をはじめ、農業は稲作を主体とし、野菜づくりや、りんご、ぶどうなどの果樹栽培も盛んです。
 また約800年の伝統を誇る「川連漆器」は秋田を代表する伝統工芸品となっており、川連漆器の技術を生かした「秋田仏壇」など秋田県を代表する伝統産業の町でもあります。

特産の「こまがたりんご
 稲川町の一級河川皆瀬川の両岸に開けた水田地帯は、昭和47年から平成元年に県営ほ場整備事業「稲川地区」及び「皆瀬地区」により30a区画に整理済みです。
 また約650haを潤す稲庭頭首工はこれまで適切な維持管理・補修が行われており、その下流の幹線用水路は平成4年から平成7年に、県営かんがい排水事業「稲川地区」により改修され、これら農業用排水施設は、安定した用水供給を可能にし、町の農業を支える重要な役目を果たしています。
 水田やため池を自然や地域の学習に利用する「田んぼの学校」が全国に広がっていますが、ここ稲川町でも平成14年9月21日(土)に、稲川町東福寺字滝の口の「東福寺ため池」において、稲川土地改良区が主催、稲川町、稲川町教育委員会、駒形小学校、PTA、皆瀬川筋漁業協同組合、秋田県土地改良事業団体連合会の後援で、「土地改良施設を見学し、コイやヘラブナなどザッコ採りをしませんか」をキャッチフレーズに、”どろんこ学校”が開催されました。
 ため池の用水は、下流に広がるりんご畑への消毒散布を9月10日に終え、「どろんこ学校」の開催となりました。快晴の天気です、今日はどんな楽しい授業がまっているのでしょうか!
 「東福寺ため池」は、昭和7年に築造され、雨来水利組合と東福寺土地改良区で管理していた。
 昭和59年1月に稲川土地改良区に合併した同じ年の7月、ため池の底樋(そこひ)が老朽化により決壊し、応急的に修復したものの、地域住民の不安は解消されず、ため池大改修の気運が高まっていった。
 (写真は着工前の東福寺ため池)
 東福寺ため池は、県営ため池等整備事業として昭和60年に採択され、詳細な調査後、斜樋や底樋、余水吐施設などを全面改修し、併せて堤体や基礎部の漏水処理を施し、事業費298百万円をかけ平成4年度に完成した。現在も約90haの農地に農業用水や防火用水を安定的に供給し、更に地域の農地を守る役目も担っている。
(写真は平成4年頃の工事完成後のため池)
 午前9時30分の開校に合わせ、地元の駒形小学校児童と保護者約60人が、ため池の堤体部分に集合。はじめに校長である稲川土地改良区の高橋理事長が挨拶。
 現在全国で「21世紀土地改良区創造運動」が展開されていて、土地改良区の果たしている役割が見直されており、今後も一層地域住民とのつながりを大切に農業・農村を守っていきたいと話した。
 次に土地改良区の阿部施設管理課長が「土地改良区のお話」と題し、土地改良区がどのような仕事をしているかを子供らに説明した。
 「土地改良区は田んぼを大きく四角にしたり、水路やため池をつくる仕事に携わっており、出来た水路やため池の管理には120人もの農家が頑張っている。また農地の災害や事故が起こらないよう巡回もする。
 東福寺ため池の水は農業用水の他に野菜を洗ったり、消防用の水として利用したり、雪を投げるために冬でも流していたり、たくさんの役割がある。」
 その中で、みんなの家の前に流れている水路は、維持していくために沢山のお金や農家の人達が関わっていること、そしてゴミなどを絶対捨てないように呼びかけた。
 続いて稲川町農林課の阿部課長補佐が、ため池の上流にある「水源の森百選」に選ばれた”大滝沢国有林”について説明し、たくさんの落ち葉がスポンジの役割をして雨を貯め、そこから流れる水を土地改良区の人たちが毎日管理をしている。
 水源の森と土地改良区は切っても切れない縁であると話し、児童らは身近な自然の雄大さに感心し、真剣な眼差しで聞き入っていた。
 「みなさんの大事な水を生み出しているこの森を、荒らさない、汚さない、そして森を大切にしよう!」
 「水源の森百選」とは、水を仲立ちとして森林と人との理想的な関係がつくられている等の代表的な森について、平成7年に林野庁がまとめたもの。
 秋田県内には稲川町の「大滝沢国有林」の他に峰浜村の「水沢川源流の森」と六郷町の「七滝水源保安林」が選ばれています。
 大滝沢国有林は、稲川町に供給する全ての水道水を賄うと共に、農業用水等を下流の集落に供給する一方で、古くから水源かん養林として大切に守られてきたため、450種類以上の植物が存在し、全国的にも極めて珍しい標高の低い場所にある天然ブナ林をもつ生態系豊かな森なのです。
 東福寺ため池を管理する、稲川土地改良区工事担当理事の日野哲作さんも、今日は子供たちに、ため池施設の操作について先生をして下さった。
 日野さんはお父さんの後を引き継いで18年間、ため池の管理に努めており、昭和59年に底樋が決壊した時も、日野さんが番水を実施し、少ない水を極めて有効に利用し、多くの水田を枯死から救っている。
 冬場は地域で使用する流雪溝用の用水確保のため、2時間の道のりをかんじきを履いて、用水調整をする。
 一方、町の教育委員会が毎年夏休みにため池周辺で実施している、「大滝沢探訪 自然体験学習」では講師も勤め、自然の豊かさ、素晴らしさ、それを守ることの大切さを実体験を交え指導し、多くの共感を得ている。
 ようやくため池にあった水がなくなりだしました。ため池に住んでいた魚たちは、底樋から水路を通って、この大きなよどみへ流れ着いたのでしょうか?いったい何匹いるのかな?
 5年ぶりにため池の水を抜くため、ため池から流れ着いた沢山のコイやヘラブナを、ため池管理人の号令のもと、児童らの魚つかみ取り体験が始まりました。中には体調60pを越えまるまる太ったコイが何匹も捕獲され、皆どろんこになりながら、ため池に集まる様々な生き物を通して、のびのびと豊かな自然を体験することが出来ました。
 農村で生活する人たちにとって、農地や農業用の施設が生産の場であり生活の場でもあり、これらが豊かな自然の中に存在することを地域の子供に伝え、環境保全の重要性についても考えてもらうことが必要となってきております。
 地域の自然体系はもちろん、実際の施設を見学し実物を手にすることで、教科書にはない貴重な体験が出来る。そして自然環境の保全と多くの役割を担っていることが実感できた素晴らしい一日となりました。
 捕まえた魚を持ち上げる未来の担い手たち…。1等賞は67cmのコイを一人で捕まえた高橋君。2〜4等賞も66,63,61cmと、全て2尺以上。
 駒形小学校では、4年生になると地元の土地改良区の役割について授業で習うという。
 食料の安全、未来の農業、明るい農村、生態系保全…めまぐるしく変わる農業情勢の複雑なパズルを解き明かすのに、この子たちがカギを握っている。 
 今回汗水流し、どろんこ学校の先生や裏方として活躍した「稲川土地改良区」職員の皆さんの昼食のひとコマ。
 私たちは彼らと一緒になって、土地改良区の役割を見つめ直し、そして新たな土地改良区の活動を地域とともに考え美しく豊かなふるさとを創りましょう。
 彼らの笑顔が農業・農村の未来を明るくしてくれる。