赤平生き物1 赤平生き物2


河辺郡河辺町赤平地区
 河辺町赤平地区の田んぼで、地元の農家(赤平地区基盤整備事業組合長菅原正人ほか3名)とともに生き物調査を行った。上の写真は、岩見川左岸から取水し、赤平集落沿いを流れる用水路。かつては、生活雑排水が流入し、水も汚れ、ホタルなどの生き物たちが激減していたという。平成5年、農業集落排水事業が完了して以来、今では水路の清流が蘇り、様々な生き物たちの賑わいを取り戻している。
 田んぼの中を流れる水路で捕獲したタナゴ。タナゴは、ヒレが黒っぽいアブラボテ(在来種ではなく、国内移入種)とヒレが朱色のヤリタナゴ(県版レッドデータブック・準絶滅危惧種)の二種が捕獲された。
 水路が大きく捕獲用の網を張る人が3名、4名が特製のエブリ棒で魚を下流の網の方向に追い込む。これぐらいの大きな水路でも追う人の数が多ければ、かえって掻き回しすぎる嫌いがあった。何回かやっているうちに、2名ぐらいで静かに追う方が好結果が出た。
 様々な水生昆虫やカエル、魚たちが網の中に入った。大人が童心に帰ったように夢中で網の中を覗く。捕獲した生き物は、水槽の中に入れ、種類別に分けて撮影した。
 トンボの幼虫・ヤゴやタガメ、ホタルの餌となるカワニナやタニシ、タナゴが産卵する二枚貝など、様々な生き物たちが網の中に入った。ヤゴの大きなものは、日本で最も大きなトンボ・オニヤンマの幼虫だろう。ヤゴはユスリカの幼虫やオタマジャクシなどを食べる。

 集落排水を処理してから約10年、調査では特にカワニナや二枚貝がたくさん採捕された。この事実だけで、ホタルやタナゴが多く生息していることが簡単に推測できる。
 ツチガエルとカワニナ。ツチガエルは、俗称「イボガエル」と言われ、背面に大小のイボ状隆起におおわれている。緩い流れの小川、溝、池沼にすみ、多少汚れた水にも見られる。繁殖期の鳴き声は「ギーコ、ギーコ」と聞こえる。
 ドジョウ・・・シマドジョウと二種が捕獲された。口ヒゲは10本。田んぼ周辺では、代掻きと同時に用水路から水田に遡上する。田植え後の田んぼの中で産卵するため、水田魚類とも呼ばれている。農村では、昔から重要な食用魚で、蒲焼き、煮付け、柳川、から揚げなどにして食べる。
 水の少ない排水路で、一見魚はいないように見えたが、泥がある程度堆積した水路で、ドジョウがたくさん生息していた。
 田んぼ周辺を縦、横に走る用水路、排水路をくまなく調査した。
 山側沿いを流れる大きな排水路。岸沿いの障害物を丹念に掻き回し、追い込んだ後、三つの網を一斉に上げた瞬間。三人は一斉に何が入ったかと、網の中を真剣に覗きこむ。
 アブラボテ・・・濃尾平野以西の本州から九州に分布。もともと秋田には生息しない種で、県水産振興センターの杉山内水面利用部長によると、国内移入種とのことだった。河川から取水しているかんがい用水路などの岸辺を好む。主にユスリカの幼虫など小型の底生動物を食う。赤平地区の用水路で大量に捕獲されたタナゴのほとんどは、このアブラボテだった。
 ヤリタナゴ(準絶滅危惧種)・・・タナゴ類のなかでは体高が低い方に属する。県版レッドデータブックでは、次のように記されている。
 「県内では、平野部を中心に比較的多くの河川、湖沼に出現するが個体数は漸減しており、認められなくなった箇所も少なくない。アカヒレタビラと混生している地点は少ない。湖沼より河川に出現する場合が多く、成魚は大河川の下流域の岸よりに、稚魚は比較的浅い泥底の場所に出現することが多い。」
 アブラハヤ・・・ドジョウと並んで最も捕獲数が多かったアブラハヤ。大きな特徴は、スマートな体形と体の中央に黒い縦状の帯が走っている点だ。主に河川の上流域から下流域にかけて生息。雑食性で、淵や平瀬の底層にいて、底生動物や流下物、付着藻類などを食べる。
 イヌダテ・・・夏の頃から茂っているが、秋が深まるにつれて目立ってくる植物。果穂の濃桃色は田んぼによくマッチする日本古来の雑草だ。
 白い花を咲かせている植物はミゾソバ。花が穂にならず、塊でつくタデの仲間で、花の色は白いものから淡紅色のものまで変化に富んでいる。殺風景な晩秋の水路を彩る可愛らしい花だ。
 杉の木立に囲まれた赤平集落の鎮守の森。馬頭観音を祀っているとのこと。地元の人によると、昔から農耕馬として活躍した馬は、村人にとって神様で、県北地方のように馬の肉を食べる習慣はないという。

取材・編集:秋田総合農林事務所土地改良課
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