ほ場整備後の営農に係わる研修会タイトル
The Training Session of the after the Land Consolidation Project
研修風景
2004年3月4日 鹿角地域広域交流センターにて
      
 農家戸数・農業人口の減少、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増加、安価な食料輸入品の増加、そして財政悪化にともなう農業農村整備関係事業費の減額・・・・。現在の農業農村整備をとりまく情勢は、過去になく厳しい状況となっていますが、特にここ鹿角地域振興局管内は認定農業者の割合が県平均9%にくらべ7%と下回っているなど、将来の農業への展望が厳しい状況にあります。
 このような状況をうけて、平成14年12月に国が決定した米政策改革大綱を踏まえ、平成15年度中に鹿角地域水田農業推進協議会により地域水田農業ビジョンが策定され、平成16年度からはその実践がスタートします。これにより、今後は農業者・農業者団体の主体的な取り組みによる米の需給調整システムの確立、売れる米づくり、地域の創意工夫が活かされる水田農業の産地づくりなどが求められます。
 このような農業情勢の大きな変化の中、今後の農業は経営体力のある担い手への集積が進んでいくことが予想されますが、その担い手の確保には、認定農業者など個人農家の他に、地域や集落による生産組織や、法人組織等が注目されています。
 ここ鹿角地域振興局管内においても、ほ場整備を契機として、個人ではなく、生産組織や法人組織として担い手を確保しようとする動きが始まっており、鹿角市においては「花輪地区担い手育成基盤整備事業」を契機として、平成15年3月に農事組合法人「用野目ファーム」が設立されました。そして、平成16年3月には小坂町においても「荒川地区担い手育成基盤整備事業」を契機として、生産組織として「荒川地区作業受託組合」が設立しました。
 農業・農村をとりまく状況が厳しい中、鹿角地域振興局管内では花輪地区や荒川地区を例にしながら、今後このような集落営農をベースとした生産組織・法人組織タイプの担い手確保を加速化していく必要があると考えています。
 そこでこの度、鹿角地域振興局農林部農村整備課では、現在担い手育成基盤整備・経営体育成基盤整備等のほ場整備を実施中の7地区の他、今後事業実施に取り組みたいと考えている管内の地区の事業推進委員を中心に、水田農業情勢の現状や先進事例等を学ぶ「『ほ場整備後の営農』に係わる研修会」を開催しました。



研 修 会 テ ー マ 及び 講 師 陣 の 紹 介

 講師は鹿角地域振興局農林部農林企画課・農村整備課職員と、先進事例紹介として花輪地区用野目集落自治会長が勤めました。

農林部長 木村 功

用野目集落自治会長
 福島寿栄 氏

農村整備課長 石井源一郎


農村整備課主幹 日景一雄

農村整備課副主幹 畠山敏博

農林企画課主査 亀山博昭

講話「鹿角農業の展望」 鹿角地域振興局農林部長 木村 功
鹿角地域の担い手育成基盤整備事業の取り組み 農村整備課主幹        日景一雄
集落営農の組織化と法人化について 農林企画課主査        亀山博昭
農地利用集積に関する先進事例 農村整備課副主幹      畠山敏博
集落営農の新たな展開 用野目集落自治会長     福島寿栄
 ※この後、意見交換会を実施   プロポーサー:農村整備課長 石井源一郎

研 修 風 景

 当日は鹿角市・小坂町の職員や、事業推進委員、管内土地改良区役職員など、総勢40名を超える参加がありました。
研修風景1 研修風景2

研修風景3 研修風景4

研修風景5 研修風景6

研修風景7 研修風景8
 研修を受け、地域農業の将来像を心に描いて・・・


以下は、当日の研修資料のダイジェスト版です。

鹿角地域の担い手育成基盤整備事業の取り組み
  1. 担い手・土地総→経営体育成基盤整備事業へ
    H14まで やじるし H15から
    担い手育成基盤整備事業
    主として未整備地区において区画整理とそれと併せ行う道水路・暗排・客土等を行う。
    経営体育成基盤整備事業
    • 現況の整備水準にかかわらず区画整理、又は水路・道路・暗排・客土等2工種以上実施する。
    • この他に農業生産基盤整備付帯事業や農村生活環境基盤整備を併せ行うことができる。
    • 農地集積要件強化や担い手要件に認定農業者を加えるなど、意欲ある経営体の育成に資する事業内容を強化。
    土地改良総合整備事業
    主として整備済みの地区において水路・道路・暗排・客土等2工種以上実施して高度利用を図る。
  2. 鹿角管内整備状況
    水田面積
    ha
    要整備面積
    ha
    H14年度まで H15年度
    整備面積 整備率 整備面積 整備率
    鹿角市 3,700 3,339 1,991.8 59.7 2,020 60.5
    小坂町 481 409 311.0 76.0 320 78.2
    4,181 3,748 2,302.8 61.4 2,340 62.4
  3. そのほか、管内ほ場整備計画・実績、工事実施時の配慮など

集落営農の組織化と法人化について
〜米政策改革の背景にあるもの〜
  1. そもそも何を改革するもの??
    • 構造政策(生産構造)→水田の6割を担い手に集積して効率的活用
    • 水田農業政策(需給調整)→水田を利用して米も含む多彩な産地づくり
    • 米政策(集荷・流通) → 生産と消費との距離を縮めて市場動向へ迅速に対応
  2. 米政策改革と担い手づくりの関連
    • 全国一律をやめて自主的判断に基づく多様な生産活動への誘導
    • 地域水田農業ビジョンにより地域の生産対策目標と経営対策目標を明確化
  3. なぜいま、組織やグループなのか??
    • これからの時代、農業で生き残る人はどうするか・・・
    • 高齢化は深刻。将来農業を続けられなくなる人はどうする?
  4. そのほか、担い手や特定農業団体の説明など

農地利用集積に関する先進事例
  1. ほ場整備完了地区における農地集積と担い手育成の実績の紹介
  2. ほ場整備を契機とした秋田県内の新たな地域農業の取り組み事例の紹介     
  3. そのほか、秋田県内の農地集積事例や、(財)福島県農業振興公社の事例紹介など

集落営農の新たな展開
 農事組合法人「用野目ファーム」とは・・・
 花輪地区の用野目集落の農地を将来にわたって保全し、持続的な農業生産活動と集落の持つ多面的機能の確保を図ることを目標とし、5人の担い手からなるもので、平成15年度農作業機械リース事業により導入した大型機械を用い、平成16年からは農地利用集積実践事業を活用しながら、47.1haの整備済みのほ場で営農作業に本格的に取り組む予定である。
 今後は、農用地の有効利用や農業経営改善のため、地区内の農家と一致協力し、農地の集団化や農作業の受委託、機械・施設の共同化をさらに推進し、地域一丸となって水稲や大豆等の産地づくりに努める等、計画的な生産を目指している。

  1. 用野目集落がめざす「特徴的で個性」のある姿とは(数字はH15実績)
    ・農地集積 作業受委託方式
    ・転作の仕組み 集団と個別の併用型
    水田面積60ha・・ うち転作面積18ha (転作率30%)
    集団化作目10ha 大豆7ha、枝豆3ha(団地化率56%)
    重点作目4.2ha トマト2ha、キュウリ1ha、地鶏1.2ha
    ・営農集団組合の役割
    水田農業ビジョン作成
    土地利用計画作成 集団作付地と個別作付地の割付と調整
    畑作物団地の運営計画
        
  2. 運営のモットー
    集落農地を守るため
      「所有は個人・利用は皆で」をベースに「努力が報われる」運営


     構成員の意識として、農地の利用はまかせても良いが財布は自分で持ちたい、つまり結果責任は自分で負う。
     年金族の営農意欲が高いので、そのパワーを集団活動にいかすことにより、規模拡大や新規作目導入も可能である。

  3. 集落営農の課題とその克服
    ・なぜ担い手を組織対応にしたか?
     個人担い手だと後継者を約束できないが、集落営農であれば後継者を組織全体から適任者を専任できる。
    ・農業機械・施設の効率運営対策
     初期投資の負担減を図るため、有利な補助や低金利資金を活用し、新規機械・施設は法人が取得し管理運営する。
    ・営農意欲を高めていくために
     作業受委託併用とした結果、高齢者・後継者難農家の農地を法人が管理することになり、5年10年先を見越した体制づくりに取り組む必要がある。「皆でやれば面白い」「収入を得られる工夫」「集落内労力の有効活用」が大切。
    ・集団転作地(H16からは産地づくり対策)をいかに活用して収入を上げるか?
     大豆・枝豆のブロックローテーション、新作目導入と土地利用の工夫で収入アップにつなげたい。

  4. 結 果
     せっかく地域で知恵や意見を出し合いお金をかけてほ場整備をするのだから、個人営農の発展はもちろんであるが、地区全体での調整をうまく図って調整水田や自己保全等になってしまう水田を少しでも少なくしたい。このような考えから、用野目集落では用野目ファームによる利用調整を推進してきた。
     その結果、鹿角市内の同規模の集落に較べ、H15実績で転作補償金を4倍程度確保することができている。

意見交換会
意見交換風景1 意見交換風景2
  意見交換会では、プロポーザーの石井課長による東北管内事業地区営農推進優良事例と、国・県の財政事情、食糧自給率、鹿角地域水田農業ビジョン、集落営農等に関する資料により、集落営農を実施する際の集団転作に伴う施肥技術に関すること、集落営農と土地改良区への加入の考え方、用排水施設の維持管理等の管理組織(個人・維持管理組合/土地改良区)による違い等の質問がでて、それらについての意見交換が行われた。


研修全体風景
 鹿角地域振興局管内は、秋田県平均に較べて農業就業人口に占める65歳以上の割合が低く、また女性農業者の割合は高いという特徴があり、農業粗生産額においても米・畜産・野菜果実その他がそれぞれ30〜40%とバランスよく複合経営が進んだ地域です。
 鹿角地域振興局農林部農村整備課では、このような研修会を契機として、鹿角独自の特徴を活かしながら、地域水田農業ビジョンの実践・達成をめざし、農業者・農業者団体の主体的な取り組みによる米の需給調整システムの確立、売れる米づくり、地域の創意工夫が活かされる水田農業の産地づくりなどをすすめていく上でのベースとなる、経営体育成基盤整備事業による基盤の早期整備を推進していきたいと考えています。

美しき水の郷あきた 鹿角地域振興局 こまちチャンネル
(秋田県農林水産部)
美しき水の郷かづの
(鹿角地域振興局
農林部農村整備課)

Designed and Edited by Tami Izumitani(Technical Officer)

取材・編集:鹿角地域振興局農林部農村整備課計画指導班

Akita Prefecture
Kazuno Regional Affairs Department
Agriculture & Forestry Sector
  Agricultural Manegement Division
Planning & Leading Group