食文化MENU



 元旦の未明には、しめ縄をかけた新しい桶に若水をくみ、神仏にお膳を供え、五穀豊穣、家内安全を祈り、家族全員で祝い膳についた。最近はこのように新年を迎える家庭は少なくなったが、たくさんのご馳走を並べ、家族そろって年の初めにふさわしいおせち料理を食べるのは、昔も今も変わらない秋田の農村食卓風景である。
 おせち料理の重詰めは、一般的に四つ重ねのものを使う。江戸時代から伝わっている基本的な形は、一の重は祝いザカナ、二の重は口取り、三の重は焼き物・なますなど、与の重は煮ものと、だいたい決まっている。

お太子講様のお供え…阿仁川流域の町村では、旧暦の11月4日、14日、24日と三度、オデシコサマを祭るお太子講行事が盛ん。初めは小豆がゆ神棚に供え、豊作と家内安全を祈る。 中太子講のお膳。ぼたもちと漬物。
仕舞太子講のお膳。どんべもちと桜えび。 冬至の料理・小豆かぼちゃ…ユズもカボチャも黄色だが、中国の故事で黄色が邪気をはらう魔よけの色とされている。野菜不足になりがちな冬を乗り切るため、ビタミン、ミネラルの豊富なカボチャの料理を食べるのは、健康のためにも理にかなっている。
年越しのそば料理・そばねり…江戸時代の慶長年間に、現在のそばの形であるそば切りが現れるまでは、そば粉としての粉食で、そば粉を湯で練って食べるソバネリが代表的な食べ方だったと言われる。 正月の料理…正月神に供える鏡餅。鏡は神霊のよりしろとして神聖なものとみなされ、これをかたどった大小の丸餅を二つ重ね、それに昆布、松の葉、尾頭付きの煮干し、ユズまたはミカンをそえる。農具や台所、土蔵などにも供える。
正月の祝い膳…元旦の朝の膳。キンキンの塩焼き、煮しめ、豆腐の味噌汁、でんぶごぼう、ご飯、大根なます、黒豆。その家の伝統やしきたりによって多少違いがある。 雑煮…秋田県内の雑煮餅は、関東風の角切りを焼いて使うのが多い。凍てつく冬の中で迎える新しい年のはじめに、家族そろって熱い雑煮をいただくのは、ふるさとの正月ならではの情景である。
正月用の煮しめ 黒豆…黒豆は、たんぱく質、ビタミンB1、カルシウム、鉄分、食物繊維などが含まれている栄養価の高い健康食品。豆は「まめに暮らせるように」との意味もあり、1年の無病息災を願う正月にふさわしい食べ物と言える。
煮つけ…煮汁をほとんど残さず、甘辛くコッテリ煮あげるものを煮つけという。 ゼンマイの白あえ…春に採ったゼンマイは干して貯蔵し、秋から冬の間の貴重な保存食品として色々な料理の材料に用いられる。
かすべなます…なますとは、生の魚や野菜などを刻んだものを、酢を使った調味料であえた料理のこと。日本で最も古い調理法の一つと言われる。正月や婚礼の祝い膳として古くから伝えられてきたもので、かすべやサメの頭、サケの頭の軟骨、ハタハタなどを利用したなますがある。 大根なます…正月料理の三種のうちの一つ。大根とニンジンの紅白の彩りに、縁起のいい桜海老を加えたおめでたい時にいただく「三色なます」
ハタハタずし…初雪が降り、雷鳴がとどろく11月末頃、秋田県の日本海沿岸に産卵のためにハタハタが寄ってくる。秋田県の人々は、このハタハタを煮たり焼いたりして食べるほか、大量に加工貯蔵して長い冬を過ごしてきた。中でもハタハタずしは、古くから正月料理の一品として家ごとの秘伝の漬け方、自慢の味が伝えられてきた。 七草雑煮…1月7日の節句に七草を入れたかゆを食べるのは、冬の間の食生活で不足がちな栄養素を補い、正月のご馳走で疲れた胃腸を休ませるための古い時代からの生活の知恵といわれている。雪国秋田では、七草を摘むことはできないので、ありあわせの野菜や山菜などを必ず7種入れて七草がゆとした。
納豆汁…寒さの厳しい秋田にとって、納豆汁は冬の季節になくてはならない食べ物のひとつ。濃厚な風味と粘りが溶け込んだアツアツの汁を食べると、体の芯から温まり、不足しがちな冬期間の栄養確保に役立っている。

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