比内地鶏 人気全国区 生産需要に追いつかず 昨年は30万羽を突破
朝日新聞秋田版 2001年2月25日
値は張るが、うまさで評判、右肩上がり

 焼いて肉の味をかみしめるもよし、煮て、スープのうまみを堪能するもこれまた、よし。「これからも比内地鶏の人気持続のために頑張る」と語る阿部之義さん

 県北の風土がはぐくんだ比内地鶏が人気を呼んでいる。安くはないが、食感と味は抜群にいい、と評判はうなぎ登りだ。生産量も年々増え、昨年は全県で年間三十万羽を超えた。全国区の人気だが、現場の生産者は「需要に追いつかない状態だ。でも、むやみに量を増やすことはしない」と着実に構えている。(高山 修一)

 東京・外神田の鳥料理の専門店「鳥つね自然洞」。比内地鶏、名古屋コーチン、奥久慈しゃもの三種類を料理に使っている。比内地鶏は名古屋コーチンより二割、奥久慈しゃもより三割高い値段設定だが、人気が高く店のメーン料理になっている。同店の佐々木久哉さんは「肉の締まり、香り、適度の脂ののり方と、比内地鶏はすべての面において優れている」と太鼓判を押す。

 東京・有楽町で比内地鶏の焼き鳥を売り物にしている「どんど」は、比内地鶏の焼き鳥一本が三百五十円する。近所の居酒屋では、普通の焼き鳥の相場が一本百円程度。有楽町店の神矢城司店長は「値は高いが、歯ごたえと味のよさにお客さんは納得してくれる」。昼は二種類の親子どんを出しているが、百円高い比内地鶏の方がよく売れる。

 比内鶏はもともと、北秋田・鹿角地方の農家で広く飼われていた小型のニワトリ。

 活発な性質で、枝から枝へと飛ぶなど運動量が多く、身が締まり、肉の味も優れていた。純粋な日本地鶏で学術的な価値があるとして、一九四二年に国の天然記念物に指定された。

 七三年に県畜産試験場が、比内鶏のオスと米原産のロードアイランドレッド種のメスをかけ合わせて生み出したのが「比内地鶏」だ。県内では比内町、大館市、合川町などに生産者が多い。

 近年、生産数は増えている。
 主産地の比内町のデータをみると▽九五年=三万三千五百二十五羽▽九六年=四万八千五百羽▽九七年=六万千五十羽▽九八年』七万九千二百羽▽九九年』八万六千五百五十羽▽二〇〇〇年=十万四千三百羽と増え続け、昨年十一月には比内町比内地鶏生産部会が「十万羽達成記念式典」を開いた。

 「東京のデパートでは百グラム六百五十円、ー羽八千円で売っている。世界一高く、日本一うまいのが比内地鶏。名古屋コーチン、薩摩地鶏と比べても味は絶対に上だ」と大沢清治町長は力説する。