The wood of the rope sentence/Sirakami mountains district 1

 白神山地は、秋田県と青森県の県境に位置し、白神岳(1,232m)、向白神岳(1,243m)、真瀬岳(988m)、二ツ森(1,086m)、藤里駒ケ岳(1,158m)、小岳(1,042m)、青鹿岳(1,000m)、天狗岳(958m)といった標高千メートル級の山々が連なる山塊である。
 この白神山地を源流とする川は、赤石川、追良瀬川、粕毛川、大川、暗門川、津梅川、真瀬川、水沢川などブナ原生林の豊かな恵みを受けた動植物、渓流魚の宝庫として知られている。
 そこは、本格的な開発を受けることなく、マタギや少数の登山者、山岳渓流愛好家たちが入山する「秘境」の面影を残した広大な山域である。そこには、道などなく、地元の人ですら入り込めない「聖域」が、どこまでも広がっている。

 ブナと野性動物の楽園・白神は、豊かな山の幸をもたらし、白神に生きる人々の暮らしと文化を育んできた。日本海側沿いの峰浜村から能代市にかけて、たくさんの縄文遺跡が発掘されている。古くから、水かかりのよい谷あいに水田を開き、農耕を営みながら、海の幸はもちろん、森の王者・熊をはじめ山菜、きのこ、川魚など、ブナの森の恵みを享受。人は、それを「ブナ帯文化」と呼んでいる。古代より恵みをもたらし続けてきた白神の森は、「縄文の森」と呼ぶにふさわしい。
 こうした世界最大級のブナ原生林が高く評価され、秋田県と青森県に広がるブナ原生林、約17、000haが、平成5年(1993年)12月、屋久島とともに世界自然遺産に登録された。

秋田県藤里町岳岱風景林、ブナの原生林を手軽に散策できる。岩を抱くブナが分厚い苔に覆われ、縄文時代にタイムスリップしたかのような森を体験することができる。必見の価値ある森だが、そこに至るまでの林道があまり良くないので注意が必要だ。 緑のダムと呼ばれるブナ、その源流から沁みだす一滴(峰浜村水沢川源流)。白神の水は、ミネラルを多く含み、下流の水田を潤し、山の幸、海の幸を育ててきた。
二ツ森(1,086m)から、青森県側を望む。左の一番奥の山が白神の盟主・白神岳(1,232m)、向白神岳(1,243m)である。残雪と新緑が織り成す一大パノラマに息をのむ麗しさだ。 二ツ森(1,086m)から、秋田県側を望む。二ツ森山頂は、秋田・青森に広がる世界遺産地域を360度眺められる絶好の場所というだけでなく、青秋林道終点からわずか40分程度で登れる。老若男女誰でも登れる初心者コースだ。左側の奥に聳える山が、能代山本地域で最高峰の藤里駒ケ岳(1,157m)である。
白神山地のブナは、日本海から吹き付ける風雪が強く、樹齢200〜300年程度のサイクルで世代交代を繰り返してきた。ブナは、北の森の象徴とも呼ばれ、狩猟採集時代は、この森の恵みを受けて縄文文化が花開いた。また、狩りの文化が、縄文以来連綿と受け継がれてきたのも、この森のお陰である。 新緑の季節は、白神の森が最も輝くときだ。透き通るような若葉の淡い緑は、またたくまに濃い緑に変化し、白い樹肌とのコントラストを際立たせる。ブナの森は、いつ見ても美しい。
早春、ブナの芽吹きが始まる。山には、まだ雪が残っているが、日の光を浴びたブナの幹は、雪を解かし、根元に土をのぞかせる。 ブナの森を流れる白神の清流。底石まではっきり見える透明度、潤いを感じさせる太古の流れに生息する魚がイワナ、ヤマメである。秋になれば、大量のサケが母なる川に帰ってくる。
錦秋の渓谷。紅葉は、峰から沢へと駆け下りることから「峰走り」とも呼ばれている。黄色と紅の競演、秋は色の魔術師とも言われ、古来から多くの人々に感動を与えてきた。けれども、白神の森は、淡く萌え出る新緑の季節が勝っていると思うのだが・・・。 秋、白神の源流。産卵の季節がやってきた。落ち葉の下にペアのイワナが潜み、産卵が始まる。やがて長い冬がやってくると、サルたちは、ヒバの根元で肌を寄せ合い寒さと飢えをしのぎ、草木が芽吹く春をじっと待つ。
左の写真は、白神で15匹ほどの群れをつくっているボスザル。ブナの風倒木に座り、萌え出たばかりの草木の芽を食べていた。白神の猿は、ブナの森が大好きだ。でも、なぜこんな寒いところに住んでいるのだろうか。サルは、もともと暖かい所が好きなはずである。けれども、サルも人間と同じで、北の厳しい冬さえしのげば、春から秋まで、ブナの森がもたらす美味しい食料を食べられるからである。
右の写真は、厳寒の白神を縦横無人に歩くカモシカ。他に森の王者・ツキノワグマの生息密度も、ダントツ高い。もちろん、天然記念物のクマゲラだって生息している。まさに、白神は野性動物の楽園なのである。
白神山地の日本海側に注ぐ河川には、毎年大量のサケが遡上する。このサケは、清流・水沢川に遡上してきたもの。左の写真はペア、右の写真は、産卵でメスを奪い合うオスたち。春には、天然のアユも遡上する豊かな川である。