鷹匠作品・ふるさとマンガの作品の紹介

 聞き語り「最後の鷹匠」(朝日新聞秋田支局編 写真:鈴木洋一、無明舎出版)

 昭和6110月から年末にかけて、朝日新聞秋田版に連載された50回の聞き語りシリーズに、鷹匠の歴史や、秋田県での位置付けなどを調べなおして加筆、秋田の山村生活・習俗資料として貴重な一冊。中でも、数多くの写真が満載されている。秋田県湯沢市出身のカメラマン・鈴木洋一さんが撮影した掲載写真は、PLAYBOYドキュメント・ファイル大賞優秀作品賞に輝いている。
「熊鷹 青空の美しき狩人」(藤原審爾 、文藝春秋1982.5.20、絶版

 日本最後の鷹匠、武田宇市郎さんをモデルに書き上げた小説。
 鷹と人間と自然の壮大なドラマは、私自身が読みたいのはもちろん、ぜひ皆さんにも読んで欲しいと思ったが、残念ながら絶版とのことだった。
 それだけに、読みたい衝動を抑えることができない。私は羽後町の図書館にある古ぼけた一冊の本を取り寄せ、貪るように読んだ。
 ニッポン博物誌1「イワナの恩返し」(矢口高雄著、講談社)の中に、短編漫画として最後の鷹匠を描いた作品「鷹の翁」が収録されている。漫画とは言え、矢口さんならではのリアルな絵と徹底的に鷹の術を研究し尽くした秀作でもある。矢口高雄さんは、鷹匠の起源について次のように記している。
 「毎年のように重い年貢に悩まされ、食うものも食わずに働かなければならなかった当時の農民たち、まして海から遠く離れた魚類タンパク源に乏しかった山間寒冷地の農民たちにとって、生きるために欠くことのできない動物タクパク源を、周囲の山々の鳥や獣に求めたとしても、なんの不思議もなかったし、半年の雪に埋もれて、食べ物に不自由だった人々にとっては、地理的条件からして当然のことであったろう。
 その意味からも、公家の遊戯や武家の権力の象徴として発達してきた「鷹狩り」が、東北の山間農民に伝承された歴史的背景は・・・
 例年厳しい年貢を課す武家たちの鷹狩りを、うらみをこめて、じっと垣間見ていた農民たちが、見よう見真似で、その技を盗み・・・
 やがて武士に対抗するように、彼らよりもはるかに大型のクマタカを用い、あくまでも肉を食い、毛皮を得る手段として勇壮かつ豪快な鷹狩りを完成していったのではあるまいかと、ボク(矢口)は思う。」
 ふるさと秋田をこよなく愛する漫画家・矢口高尾さんの「ふるさと」シリーズ、「愛蔵版 ふるさと」(矢口高雄著、中央公論社)。彼は巻頭に次のような一文を記している。
 「ボクがふるさと」を描くにあたって掲げたことは、・・・いわば゛生活者゛を描こうとしたのである。・・・換言すれば--人間が生きるということは、つまり、こういうことではないか--というテーマの追求を試みたのが、この作品だということである。・・・
 ゛ふるさと゛は、その危険性を大いにはらんだ作品だった。゛生活臭゛が漂うばかりか、マンガ作品のキャラクターとしては、昨今の若者たちから最も゛ダサイ゛と評され、゛カッコ悪い゛と敬遠されている”百姓”のドラマだからである。
 しかし、このテーマは、ボクにとってはどんな危険があろうとも描かれずにはいられないものだった。オーバーに言えば、作家生命を賭しても訴えたい作品だった。
 その止むに止まれぬボクの心の内とは、ボク自身が゛百姓゛だからである。奥羽山脈の、山襞の寒村の、小作人百姓として生まれたからである。」

 そして、マンガの冒頭にふるさとの絵を描き、次のように謡う。

 「ふるさと・・・
 それは人生の花園に咲く
 可憐な紫の勿忘草

 眼を閉じて
 紫のカーテンを開ければ
 なぞ恋しきや
 わがふるさと

 兎追いしかの山
 小鮒釣りしかの川

 たわむれし幼き日々
 若き憂いの日々をたどれば
 とめどなくあふるる涙

 帰りなん いざ
 みちのく わがふるさと
 緑濃き おらが村
 ・・・・・・