地域用水環境整備事業大台地区(秋田県湯沢市)・・・釣り大会、自然観察会、安全祈願祭
 平成17年5月21日(土)、大台沼自然公園(地域用水環境整備事業大台地区)の竣工を祝って、地域ぐるみの釣り大会や自然観察会、安全祈願祭が行われた。主催は、大台沼自然愛護会(会長 高橋順一)。
 大台沼は、度重なる水不足を解消するため、昭和8年、村ぐるみの直営工事で築造された。沼は、全体で4つのため池からなっている。いずれも老朽化が進み、漏水や護岸の浸食が著しいことから、平成7年、ため池等整備事業で大台堤と和平堤の改修工事がスタート。その際、一番下流の小堤が埋め立てられた。

 その利活用を含めて、大台沼の自然環境と一体的に整備するため、平成12年から、地域用水環境整備事業で、多目的広場やふれあい水路、自然石を使った親水護岸、階段護岸などが整備され、平成17年3月に完成した。
 左:大台堤・・・左岸側に階段護岸、管理道路を整備。
 右:和平沼・・・一帯を水に親しめる空間として整備。釣り大会は、この沼で行われた。
 大台沼の水は、下流杉沢地区の水田42haにかんがいされている。
 シロカキされた水田は、湿地と同じ状態になる。そこへ、二匹のカモがやってきてエサをついばんでいた。これも田んぼの多面的機能の一つ。その田んぼを潤せるのは、大台沼があればこそである。
 小堤が埋め立てられた場所に、多目的広場とふれあい水路が整備された。釣りなどのイベントの開催や家族連れのレクレーション、高齢者の散歩、子供たちの水遊びの場、自然観察などに利用されている。
 左:自然観察会の人たちが多目的広場の道を歩き、山際に自生する樹木、野草の観察に向かうところ。
 右:多目的広場で食事、お茶を楽しむ家族。
市民・チビッ子釣り大会
 釣り大会には、大人だけでなく子供たちも参加。自然石を使った階段護岸は、家族連れで釣りを楽しむことができる。だから大台沼自然公園は、別名「釣り公園」とも呼ばれている。

 主催:大台沼自然愛護会(会長 高橋順一) 協賛:湯沢市釣公園推進協議会(会長 遠田亮)
 この沼には、ゲンゴロウブナ(左の写真)、マブナ、コイ(右の写真)、ナマズ、メダカ、沼エビなどが生息している。

 ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)・・・今回、釣り大会の対象となった魚種。釣り人の間では、ヘラブナの名称で親しまれている。特徴は、マブナに比べて体高が著しく高いこと。産卵期は4〜6月、水草などに卵を生みつける。釣りの対象魚としては、繊細かつ引きが強く、四季折々違った釣りが楽しめるため、一年中この魚だけを追い続ける熱狂的なファンが多い。植物食だからエサは練り餌。
 ヒットしたゲンゴロウブナ(ヘラブナ)・・・春が訪れると、浅い水域に集まり、産卵に備えて活発にエサを追う。これを釣り人は「乗っ込み」と呼び、フナ釣りのベストシーズンだ。大会は、その「乗っ込み」のシーズンが終わり、魚も神経質になりやすい好天に恵まれたことから、ベテランでも釣り上げるのは難しい。
 左:釣り上げたヘラブナは、釣り竿を立て、魚を手元に寄せた後、玉網で水面から引き上げる。
 右:大会の釣果として一時魚をためておくため、フラシ(ヘラブナ入れ網)に入れる。
 手前の日傘をしている釣り人が座っている台を釣り台と呼ぶ。傾斜している斜面でも安定した釣り場を確保でき、椅子代わりにもなる。
 ヘラブナ釣りの魅力・・・自然豊かな湖沼は、水辺の景色も良く、水と緑に包まれた静かな空間で釣りを楽しむことができる。エサをまき、魚を寄せて釣る。「待つ」のではなく「攻め」の釣り、そこには釣りの技術が凝縮されている。初心者でも簡単に釣れる「向こうアワセ」では決して釣れない。アワセのタイミングが難しいがゆえに、経験と技術、工夫を要するなど。
 これは何をしているのだろうか・・・のぞき込むと、浅瀬にメダカが群がっていた。それを、おばあさんと孫が一緒になって、手ですくい上げているところ。青いバケツには、たくさんのメダカが入っていた。こんな遊び方もあるんだ。
 釣り上げたヘラブナ。1釣り大会は、12時に終了し、計量が行われた。
 午前中の釣果を計量・記録した後、速やかに再放流された。
 表彰式・・・優勝した子供は、持ち切れないほどの豪華な賞品をもらい、お父さんとともに大喜びだった。
 大人の部・・・「優勝」佐々木敏雄(釣果9.2kg)、「準優勝」近藤信夫(釣果6.6kg)、三位柴田武三郎(釣果4.8kg)。
 チビッ子の部・・・「優勝」柿崎蓮、「準優勝」菅原寛太、三位菅原史帆。大台沼をバックに、トロフィーを持って記念撮影。陽射しが暑い中、がんばったかいがありましたね。また、仲間を連れて参加してね。
大台沼自然観察会
 一方、午前8時から野草の会の協賛を得て、大台沼周辺に自生する樹木、野草の自然観察会が行われた。講師は、自然観察指導員の佐々木先生と鈴木先生。

 主催:大台沼自然愛護会(会長 高橋順一) 協賛:ゆざわ野草の会(会長 土田治兵衛)
 ミズナラとコナラの違い・・・左の写真は、ミズナラの葉。マイタケが生える木として有名。葉の形は、コナラと似ているが、葉の周りのギザギザが荒くて鋭い。樹皮は明るい灰褐色で薄く剥がれ、不規則に割れ目ができる。コナラの割れ目は、ミズナラより深い。
 佐々木先生が手にしているのがゼンマイの胞子葉。一般にオトコゼンマイと呼ばれ、採らずに残す習慣がある。しかし、子孫を増やす胞子葉は、オナゴゼンマイが正解。なぜ反対になってしまったのだろうか・・・見栄えが硬くて不味そうに見えるから、オトコに見立てた。オナゴゼンマイ(栄養葉)は、綿毛に包まれた様子が見栄えも良く、緑色で柔らかくて美味しいことから、オンナに見立てた。
 蛾が作った繭(マユ)・・・ヤママユという蛾は、カイコと同じような繭を作る。これで高価な絹織物ができるので「緑のダイヤモンド」とも呼ばれている。
 左:ウルシの芽 右:タラノメ・・・新芽の頃は、ウルシの芽をタラノメと間違えて採取する人もいるらしい。注意!
 クロモジ・・・薄黄緑の花と上向きに開く葉が、羽根突きの羽根が青空から舞い降りてくるように見え、とても美しい。樹皮と幹には、独特の香りがあり、ツマヨウジや細工物に使われている。
 アケビの花・・・め花は、花が大きく、柄が長い。お花は、花が小さく、ぼんぼん状で丸みがある。余りに見事な花で、佐々木先生も秋には間違いなくアケビの実がなるだろうと太鼓判を押した。
 左:ホオノキの大きな若葉 右:バッケのメス株の果実。背後に咲いている紫色の花は、スミレサイシン。
 左:タニウツギの花・・・これが咲き始めるとワラビのシーズン到来を告げる。
 右:チョウジザクラ
 サクラの樹皮・・・角館の樺細工の材料は、ヤマザクラとカスミザクラの種類の樹皮を使っている。中でもオオヤマザクラの樹皮は最も良質だという。
 トリアシショウマ・・・茎は上部で三本に枝分かれしている。右の写真は、その中間の茎を切り、逆さにすると、鳥の足そのもの。名前の由来がよく分かる。若芽は、食用。

 その他覚えきれないほどの樹木、野草を観察した。四季折々、自然は千変万化するだけに、参加者から夏と秋にも自然観察をお願いしたいとの要望が出た。大台沼周辺の樹木、植物の多様性、豊かさを実感する自然観察会だった。
 安全祈願祭・・・湯沢市、雄勝地域振興局、湯沢市中央土地改良区、地元選出県議・市議、杉沢町内会、湯沢市釣公園推進協議会、大台沼自然愛護会など、関係者多数が出席し、大台沼自然公園の竣工を祝うとともに、今後の安全を祈った。
 湯沢市は、釣りの愛好団体が非常に多い。平成7年、釣り場整備と維持管理を目的に、釣り愛好31団体により、湯沢市釣公園推進協議会(会長 遠田 亮)が結成された。写真は、2005年4月上旬、新しく生まれ変わった大台沼自然公園。残雪と寒風が吹き荒れる中、たくさんの釣り人たちが押し寄せていた。

 恵まれた自然環境に立地する大台沼は、農業用水としての利水機能に加え、魚釣り、市民の憩いの場、美しい水辺空間、多様な生き物たちの生息場所・自然観察の格好のフィールドになるなど、多様な利用がなされている。今後の維持管理については、大台沼自然愛護会を中心とした地域ぐるみで、維持保全していくことを期待したい。